退職代行サービスの種類、利用する理由、ビジネスモデル、各サービスの特徴

退職代行サービスを聞いたことはあるでしょうか。

退職代行サービスとは、会社を辞めたくても会社に言い出せない人や辞めたくても会社が辞めさせてくれない人に代わって、退職に関する作業を代行するサービスのことです。

退職を代行してもらうなんて無責任なこと、というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、決してそうではなく、理不尽な理由により会社を辞めさせてくれないという事例が多くあるのです。

既に退職代行サービスの認知率は57.1%に達しており、実際に利用した人も7.1%となっています

Utilly調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000079977.html)

また、2022年には退職代行サービスが100社以上存在しており、既に当たり前のサービスとして普及していると考えて良いでしょう。

目次

どのような退職代行サービスがあるのか

退職代行サービスには大きく3種類あります。退職に関する作業を代行するという点では同じですが、法律上できること、できないことに差があります。

  1. 弁護士が代行するサービス
  2. 労働組合が代行するサービス
  3. その他民間業者が代行するサービス
項目1.弁護士2.労働組合3.民間業者
会社への代行連絡
退職作業支援
会社との交渉×
裁判の代理××
転職サポート×
相場¥50,000~¥20,000~30,000¥15,000~30,000

弁護士が代行するサービス

弁護士が代行するサービスは、弁護士が本人に代わって法律事務を行うことができます。これは弁護士法3条に規定されていますが、弁護士は本人に代わって会社との交渉を行うことができます。一方で、弁護士でない民間の業者では、法律上本人に代わって交渉を行うことはできません。

つまり弁護士の場合は、有給休暇の申請や未払い残業代の請求を本人に代わって適法に行うことができます。また、会社との争いになった場合、裁判の代理も行えます

退職代行に関して最も幅広くカバーしているのが弁護士が代行するサービスといえるでしょう。

弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。

弁護士法3条

一方で、弁護士が代行するサービスは他の2つに対して高額になる可能性が高いです。

労働組合が代行するサービス

次に労働組合が代行するサービスですが、日本国憲法28条の団体交渉権に基づき、こちらも本人に代わっての会社との交渉が可能となっています。こちらも有給休暇の申請や未払い残業代の請求を本人に代わって適法に行うことができます。

一方で、訴訟の代理を行うことはできません。サービスの中には、トラブル時に弁護士を手配してくれるサービスもあるようです。

勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

日本国憲法28条

費用については、弁護士が代行するサービスよりも安価に利用することができます。

その他民間業者が代行するサービス

最後にその他民間業者が代行するサービスですが、こちらは本人に代わって会社と交渉する法律上の権利が認められていません。そのため、会社側が代行サービスの介入を拒むと何もすることができないのです。

なので、代行とはいっても基本的には退職の意思表示や交渉は自分自身で行わなければいけません。仮に民間の業者が、「本人に代わって退職の意思表示や交渉もする」としている場合、非弁行為(弁護士法72条)に該当し、違法となる可能性があります。

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

弁護士法72条

民間の業者が代行するサービスを利用する場合は、上記の点に注意して利用する必要があります。

どのようなときに退職代行サービスを利用するのか

それでは退職代行サービスを利用するのでしょうか。

退職代行サービスを利用した理由の中で最も多いものは、「自分から言い出しづらかったから」という理由です。その他、「会社に行きたくなかった」「トラブル回避のため」「自分で退職を申し出ても受け入れてもらえなかったから」など、会社との関係で何らかのトラブルを抱えている人が利用していることが多いようです。

転職ハブ調査

 

また、退職代行サービスを利用した人の退職理由も「人間関係がうまくいかなかった」「パワハラ・モラハラ」「ブラック企業だったから」「労働時間」などネガティブな理由が多いようです。

転職ハブ調査

 

退職代行というと無責任な印象を受けるかもしれませんが、利用する人たちは会社との関係でトラブルを抱えて、言い出せない、辞めさせてくれないといった場合が多く、やむを得ず利用することが多いように思います。

退職代行サービスのビジネスモデル

退職代行サービスのビジネスモデルは、弁護士や労働組合が提供するものとその他の民間業者が提供するものとで少し異なります。

弁護士や労働組合が提供する退職代行サービスでは、退職したい人が料金を支払い依頼をし、退職代行サービス業者が直接会社と交渉を行います。サービスの中には、未払い残業代を回収できた場合、成功報酬として一部受領するサービスもあります。

その他民間業者が提供するサービスでは、退職したい人が料金を支払い依頼をしますが、退職代行サービス業者は、法律上本人に代わって退職の意思表示や会社と交渉することができないため、基本的には退職したい人本人が会社と交渉を行うことになります。業者は退職に関する作業の支援を行います。

主な退職代行サービス

最後に主な退職サービスを紹介したいと思います。退職代行サービスの種類、料金を確認の上、自分に合ったサービスを選択することが重要となります。

サービス種類料金所在地
即ヤメ労働組合¥28,000(税込)京都府
オールサポート労働組合¥29,800(税込)東京都
退職代行ガーディアン労働組合¥29,800(税込)東京都
男の退職代行労働組合アルバイト・パート:¥19,800(税込)
正社員・契約社員・派遣社員・内定辞退など:¥26,800(税込)
東京都
わたしNEXT労働組合アルバイト・パート:¥19,800(税込)
正社員・契約社員・派遣社員・内定辞退など:¥29,800(税込)
東京都
TORIKESHI(トリケシ)労働組合¥25,000(税込)東京都
ネルサポ労働組合¥24,000(税込)京都府
退職代行Jobs労働組合¥27,000(税込)+¥2,000円(労働組合費)大阪府
オイトマ労働組合¥24,000(税込)東京都
モームリ労働組合正社員・契約社員:¥22,000
アルバイト:¥12,000
東京都
弁護士法人みやびの退職代行サービス弁護士着手金:¥55,000
オプション費用:回収額の20%(残業代・退職金請求など)
東京都
辞めるんです民間業者¥27,000(税込)東京都
退職代行ニコイチ民間業者¥27,000(税込)静岡県
RITRY_リトライ民間業者正社員、派遣社員、契約社員:¥30,000
アルバイト、パート:¥20,000
兵庫県
アクロサポート民間業者¥20,000
ピンチヒッター民間業者¥25,000(税別)京都府
キャリアサンライズ民間業者¥15,000(税込)福岡県
各社HPより(2023年1月7日最終アクセス)

弁護士法人みやびの退職代行サービス

サービス種類料金所在地
弁護士法人みやびの退職代行サービス弁護士着手金:¥55,000
オプション費用:回収額の20%(残業代・退職金請求など)
東京都
各社HPより(2023年1月7日最終アクセス)

弁護士法人みやびの退職代行サービスは、弁護士が代行するため有給取得の交渉、給与未払いへの対応、退職金の請求、未払い残業代の請求などを会社と交渉することができます。

費用としては、着手金:¥55,000と少し高額となりますが、確実に退職を実現し、有給取得・未払い残業代の回収を行うには法律のプロである弁護士が運営するサービスが最適化と思います。

退職代行Jobs

サービス種類料金所在地
退職代行Jobs労働組合¥27,000(税込)+¥2,000円(労働組合費)大阪府
各社HPより(2023年1月7日最終アクセス)

退職代行Jobsは、合同労働組合ユニオンジャパンと提携し運営している退職代行サービスです。また、カウンセラーの資格を持つ顧問弁護士、西前啓子氏により監修を受けており、適正な業務運営を行っています。

その他、以下のような特徴があります。

  • 手続きは最短30分、24時間対応、即日退職連絡可能
  • 現金後払いOK(簡単な審査があります)
  • 退職できなければ全額返金
  • 無料の求人紹介サービスで転職活動もフォロー

退職した後に最も困るのは、次の職場探しです。退職だけでなく、無料で転職をサポートしてくれるのは非常に助かります。

以下、退職代行Jobsを利用した人の声をいくつか掲載します。

ジョブズさんは退職の意思を伝えてくださるだけでなく、有給休暇の取得を希望していることもしっかり伝えてくださいました。法律のことも詳しく説明してくださり、「交渉」はできないけど、会社へ私の希望を伝えるだけなら問題ないと理解することができました。退職届兼有給申請のテンプレートは顧問の女性弁護士さん監修済みのもので安心して利用できました。有給を取得したことで、賞与支給日に在職していたことになり、ボーナスももらえることができました。在職期間が長くなったことでその分お給料も多くもらえ、本当にビックリです。Jobsさんにお願いして本当に良かったです。

退職代行jobs

会社での人間関係が悪くどうしようもありませんでした。先輩や上司から常に文句を言われ、精神的にも参りました。何度も退職の相談をしたのですが、その時は優しくされ、もう少し頑張ってみては等と言われ、結局引き止められてしまいました。人手不足だったので、なんとか辞めさせないようにしていることは分かっていましたが、自分では振り切れませんでした。今回はこれ以上同じことを繰り返して働くのは無理だと思い、利用者の評判の良かったジョブズに代行をしてもらいました。すんなり退職することができたのでビックリです。あの上司が淡々と手続きを進めたと思うと本当に信じられません。成功100%の実績は信頼ができると思いました。

退職代行jobs

退職代行ガーディアン

サービス種類料金所在地
退職代行ガーディアン労働組合¥29,800(税込)東京都
各社HPより(2023年1月7日最終アクセス)

退職代行ガーディアンは、東京都労働委員会に認証されている法適合の東京労働経済組合が運営する退職代行サービスです。確実性と手軽さ双方を兼ね備えているのが特徴です。都が認めている労働組合が運営していることから適正に業務が遂行されているという安心感があります。

退職代行ガーディアン

退職を確実に実現するためには、このように適正な運営がされているサービスを選択することが重要になってくると思います。

退職代行ニコイチ

サービス種類料金所在地
退職代行ニコイチ民間業者¥27,000(税込)静岡県
各社HPより(2023年1月7日最終アクセス)

退職代行ニコイチは、退職代行実績17年の業界の先駆的な企業です。退職させた人数は40,350人(2023年1月現在)と圧倒的な実績を持っています。退職成功率100%を維持しており、退職に関する豊富なノウハウを有していることが特徴です。

また、弁護士が監修しているため、コンプライアンス観点でも安心して利用することができます。

モームリ

サービス種類料金所在地
モームリ労働組合正社員・契約社員:¥22,000
アルバイト:¥12,000
東京都
各社HPより(2023年1月7日最終アクセス)

モームリは、神奈川県労働委員会の審査に合格した『労働環境改善組合』と提携し、サービスを運営しています。また、オーシャン綜合法律事務所 梶田潤弁護士監修の元、法律に則った適正な業務運営を行っています。

このようにコンプライアンスが徹底されていることに加えて、¥22,000というリーズナブルな価格で利用することができます。さらにアルバイトには¥12,000でサービスを提供しており、より手軽に利用できるようになっています。

その他、以下のような特徴があります。

  • 退職できなかった場合の全額保証
  • 退職や勤務に関しての相談は何度でも何時間でも無料
  • 退職代行料金の1ヶ月までの後払いが可能
  • 日本全国365日24時間いつでも連絡・即日対応可能

リーズナブルな価格でサポートも充実しているため、初めての方でも安心して利用することができます。

まとめ

以上、退職代行サービスの種類、利用する理由、ビジネスモデル、各サービスの特徴を見てきました。本来退職というのは、労働者自身が会社と相談して行うものですが、これほどまでに退職代行サービスが登場しているということは、退職が一筋縄ではいかない労働者がたくさんいるということです。

退職代行サービスはネガティブに捉えられがちですが、決してそうではなく、辞められない、辞めさせてくれない労働者を適切に保護する手段として捉えるべきだと思います。

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この記事を書いた人

Junyaと申します。都内のコンサルティングファームで働いております。まだまだ若輩者ですが、私の得た経験や感じたことを本ブログで紹介できればと思います。
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