時刻のシリアル値
今度は時刻のシリアル値について解説していきます。日付のシリアル値よりも少し複雑になります。たとえば、13:05:10と入力します。

シリアル値は日付と同じでVALUE関数を使って表示させることができます。シリアル値は0.545~という小数で表されます。

これは何を基準に決まるかというと、1日24時間を1として、0から1の間の数字で表現されます。

たとえば、12:00:00は24:00:00の半分なので0.5となります。

つまり、1時間は「1/24」で表されます。数式で1/24を計算するとこのような小数点になります。

セルの書式設定で時刻の表示に変換すると1時間になります。


1分は「1/24/60」で表されます。同じように時刻の表示に変換すると1分になります。

1秒は「1/24/60/60」で表現されます。時刻の表示に変換すると1秒になります。

13:05:10をシリアル値として表現するには、「=13/24+5/24/60+10/24/60/60」となります。時刻の表示に変換すると13:05:10となります。

このように時刻のシリアル値は小数となり、少しわかりにくいですが、1日24時間を1単位とする点は日付のシリアル値と同じです。
時刻も表記は違っていても同じシリアル値を持ちます。たとえば、数字と漢字で13時05分10秒と記載してもシリアル値は同じ値になります。

また、秒を省いて入力することもできます。この場合は13:05:00のシリアル値になります。

時刻の表記はセルの書式設定に一覧があり、これらはすべて同じシリアル値を持ちます。

たとえば、AM/PMの表記に変えてもシリアル値に変化はありません。

まとめると、時刻のシリアル値は1日24時間を基準として、表現され、1時間、1分、1秒はそれぞれこのように表されます。
- 1時間:1/24
- 1分:1/24/60
- 1秒:1/24/60/60
時刻の計算
上記の点を踏まえて、時刻の計算を行っていきます。今後は13:05:10を基準として5時間後、10分後、15秒後を計算していきます。

日付と同じように時間を加算する場合とTIME関数を使う場合があります。TIME関数はDATE関数と似た関数で、時間・分・秒に分けて時刻を作成する関数です。
TIME(時, 分, 秒) |
---|
指定された時、分、秒に対応するシリアル値を返す。 |
日付の計算との大きな違いは、時間を加算する場合とTIME関数を使う場合とで計算結果に差異は生じないということです。日付の場合は1か月が30日の場合もあれば、31日の場合もある、年はうるう年で1日多い場合があるといった事情がありましたが、時刻はそのような差分はありません。1日は24時間、1時間は60分、1分は60秒というのは常に同じです。そのため、どちらの方法で計算しても結果は変わりません。なので、使いやすい方で計算を行えば良いと思います。
まず、単純に加算する方法ですが、加算する時間がこのように時刻の形式で表現されていれば簡単です。

13:05:10という時刻にそれぞれの時間を加えれば、5時間後、10分後、15秒後の時刻を表示させることができます。



しかし、単に数字だけが記載されている場合、足し算するだけでは正しい計算を行うことはできません。

先ほど解説した通り、シリアル値では24時間を1として扱います。そのため、5時間後を加算によって計算する場合は、「5/24」を加える必要があります。

これで5時間後の時間を表示させることができます。

次にTIME関数を使う方法ですが、使い方はDAY関数と同じです。13:05:10をそれぞれ、HOUR関数、MINUTE関数、SECOND関数で時間・分・秒に分解します。そして、HOUR関数で抽出した13に5を加えます。

これで、5時間後の時刻が表示されます。

先ほども述べた通り、時刻の場合は加算する場合もTIME関数を使う場合でも結果に差はありません。
次に10分後を計算する場合は、「10/24/60」を加算します。

これで10分後の時間を表示させることができます。

TIME関数を使う場合は、MINUTE関数で抽出した5に10を加えます。

これで10分後の時間を表示させることができます。

次に15秒後を計算する場合は、「15/24/60/60」を加算します。

これで15秒後の時間を表示させることができます。

TIME関数を使う場合は、SECOND関数で抽出した10に15を加えます。

これで15秒後の時間を表示させることができます。

最後に5時間10分15秒後を計算する場合、それぞれ時間・分・秒をシリアル値に変換したものを加算します。


TIME関数を使う場合は、それぞれ抽出した時間・分・秒に5時間後、10分後、15秒後を加えます。


時刻の場合は、加算する場合でも、TIME関数を使う場合でも結果は同じなので、どちらを使っても問題ありません。ただし、加算する場合は割り算の計算が多くなり、少々ミスが起きやすいかもしれません。TIME関数を使う方法であれば、関数も比較的覚えやすくミスも少ないと思います。あるいは、あらかじめ時刻の表示に変えておくのも良いと思います。
以上、日付・時刻のシリアル値について解説しました。少々複雑ですが、正しく理解すれば、スケジュールや工数、給与の計算に活用することができます。
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