本記事では、現役コンサルタントである私が読んでいる本をカテゴリ別でご紹介したいと思います。
コンサルタントには、幅広い知識とスキルが求められます。例えば、以下のようなものがあります。
- 物事をわかりやすく捉え、説明するための思考方法
- 効率的に仕事を進めるためのツール活用のスキル
- 様々な業界の知識
- 最新テクノロジーの動向
なので、日々仕事外でもインプットをして、自己研鑽する必要があります。
以下で紹介するのは、私が実際に読んで、現場で使える知識やスキルが身に着いた書籍です。
こちらの記事は随時更新し、最新の情報を提供できるようにしたいと思います。
思考力
論点思考
我々コンサルタントは日々「論点」という言葉を「このプロジェクトの論点は何か」「解決に向けた論点は何か」というように日常的に用いています。論点とは「解くべき問題」のことで、解くべき問題を定義するプロセスを論点思考と呼びます。
コンサルタントはクライアント企業の悩みや問題を解決することが仕事です。ですが、この悩みや問題を解決するため、思いついた解決策をいくらでも取ることができるわけではありません。その問題に取り組める人や時間あるいは予算といった制約があるためです。そのため、我々コンサルタントは最も効果的かつ効率的に問題を解決するため、「解くべき問題」を定義するのです。コンサルタントは「優れた解決策を提示すること」よりも「正しい問題を解くこと」が何よりも重要だと私は考えています。
本書では、論点の定義、論点を導くプロセス・手法を実例を用いて紹介しています。
仮説思考
論点思考に対応する考え方が仮説思考です。コンサルタントとなると上長から「あなたの仮説は何か」ということを日常的に問われます。仮説とは、論点に対する「まだ証明はしていないが、最も答えに近いと思われる答え」である。
私たちが日常で直面する問題は、「過去に行くにはどうすればよいか」という無理難解な問題ではなく、ある程度の知識によって答えを出すことができます。コンサルタントはまず、論点に対する仮説を知識や経験から導き出し、その仮説を証明するために必要なファクト・データを収集します。仮説が明確であれば証明に必要なファクトやデータが限定されるので、問題解決のスピードが格段に向上します。逆に、仮説を立てずに問題解決を行おうとすると調査・分析すべきデータ・ファクトは無限に広がり、スピーディーな問題解決は実現しません。
本書では、仮説の定義、その必要性、立て方、検証方法が詳しく説明されています。コンサルタントの必読書といっても良いくらい重要な考え方がまとめられていますので、是非手に取ってみてください。
スパークする思考 右脳発想の独創力
本書の狙いは、日常生活で行っているクリエイティブな発想や行動を仕事でも活用することです。クリエイティブな発想とは、斬新なものの見方や新しい企画を生み出す思考方法を指します。仕事ではロジカルシンキングが重視されることが多いですが、本書では、直感的な仮説によりアイデアを生み出すことをより重視した思考方法を学ぶことができます。
アウトプット思考 1の情報から10の答えを導き出すプロの技術
多くの人が日常的に情報収集を行う機会があると思いますが、その情報収集自体が目的となり、時間と労力をかけてしまっているのではないでしょうか。情報収集とはあくまで手段であり、「アウトプット(結果、成果)」を出すことが目的です。
本書では、1の労力で10の成果を出す情報整理術を学ぶことができます。具体的には、「何を目的として」「どんな立場で」「どんな役割を期待されて」情報を生かそうとしているのかを明確にしたうえで、情報に接することです。大切なのは、できるだけ少ない情報でアウトプットを出す、意思決定をすることで、そのためどのように情報収集を行うべきかが明確になります。
加えて、本書ではコンサルタントである著者が重視する情報源についても学ぶことができます。現場の一次情報の重要性や新聞・雑誌・本・テレビ・ネット・SNSの活用方法が紹介されています。とはいえ、著者は情報源にはそれぞれのスタイルがあるとしているので、本書を参考に自分自身のスタイルを模索すると良いと思います。
問題解決力
イシューからはじめよ──知的生産の「シンプルな本質」
人は問題・課題に直面した時、どうしても答えや解決策を導くことに急ぎがちです。しかし、世の中の問題や課題は簡単に答えを出せるほど単純なものではありません。特にビジネスの世界では問題・課題はさらに複雑で、解決のための時間やお金・情報といった制約が存在します。
そのため、我々コンサルタントは問題・課題をシンプルにし、真に解決すべきイシューを明らかにする必要があるのです。また、イシューはすべて解決すべきではなく、良いイシュー(本書では「本質的な選択肢である」「深い仮説がある」「答えを出せる」イシュー)を解決する必要があります。
本書では、イシューの見極め方、分析方法、解決方法、表現方法がコンサルタントの視点でまとめられております。新人コンサルタントの方やこれからコンサルタントを目指そうとする方には、是非手に取って読んでいただきたい一冊です。
問題解決プロフェッショナル
コンサルタントの世界では、限られた時間の中でクライアントの抱える問題を解決する必要がある。加えて、その解決策がきちんと論理的に説明できるものでないといけない。
本書では、問題解決のための2つの思考「ゼロベース思考」、「仮説思考」と,2つの技術「MECE」、「ロジックツリー」、1つのプロセス「ソリューション・システム」を紹介。思考では、問題をいかに効率的かつ正確に解決するかを学ぶことができる。
特に、「仮説思考」はその時点での結論を持ちアクションを起こすことで、ベストではないにせよ短時間での問題解決に寄与する。技術では、フレームワークを用いて問題解決の納得感を高めることができる。いかに優れた解決策であってもそれがどのように導かれたものか説明できなければ、ビジネスの世界では通用しない。そのために必要なのがフレームワークで、誰もが解決までのプロセスを理解することに役立つ。最後にソリューション・システムでは、実際のビジネスの現場で活用できる問題解決の手順を学ぶことができる。
問題解決――あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術
問題解決というのはどこか縁遠い感じもするが、実際はすべての人がビジネス・プライベートにおいても問題に直面し、解決を行っているはず。ただし、多くの人は「あたりまえの状態」に満足し、「よりより(あるべき姿)」を目指すことができてい。与えられた作業を淡々とこなすだけでは、より良い問題解決にはつながらない。
本書では、このような課題意識を持って、より多くの人が問題解決が「できる」ことを重視する。架空のビジネスストーリーを軸に具体的な問題解決の手順を詳しく解説されており、共感しながら学ぶことができる。「Where・Why・How」という概念をベースに普段見落としてしまっている問題解決の手順に気付けることが本書の良い点。
MBA 問題解決100の基本
問題解決の型というのはある程度決まっているが、実際のビジネスの現場で実践することはなかなか難しい。というのもビジネスのシチュエーションというのは多種多様で、教科書通りの物事が起こるわけではないからである。なので、実際のビジネスの荒波に揉まれた先人たちの技術を理解することが非常に役に立つ。
本書では、問題解決の技術について、ベストプラクティスとされる企業・経営者・コンサルタント・経営学者の本質を捉えたフレーズが紹介されている。そして、そのフレーズを具体的にどのように活用していくかが、事例とともに解説されており、非常に実践向きの内容となっている。また、技術だけでなくマインドセットについても紹介されているところが良い点で、ビジネスの現場で実際に問題に直面した場合でも、慌てず解決に取り組むための意識づけができる。
入社1年目から差がつく 問題解決練習帳
問題解決はアイデア勝負と思われがちだが、ビジネスの場では誰が取り組んでも同じ解決策を導くことが重要。なので、我流で取り組むのではなく、「型」を身に付ける必要がある。
本書では、平易なケースに基づき、【問題】→【事象】→【理由】→【解決策】→【工夫】の順で、問題解決の型を身に付けることができる。正しい答えを出すだけではなく、その答えをどのように他人に納得してもらうかという点にも着目しており、論理的な説明能力を磨くことができる。
文章力
論理的文章作法〈帰納法・演繹法・弁証法で書く〉 〈型〉で書く文章論
分かりやすく説得力のある文章を書くための方法論を学ぶことができる。ポイントは、明快な意見が述べられ、論拠が客観的な事実で示され、論理的に展開されること。これを支える論理的な思考法として、帰納法、演繹法、弁証法の三つが紹介されている。
超・箇条書き
議事録作成する能力はコンサルタントにとって基本的な能力であり、非常に重要な能力である。短時間で分かりやすい議事録を仕上げるには、テクニックや練習が必要となる。箇条書きというのは議事録作成、あるいは、メモ・資料作成において非常に有用なツールとなる。
コンサルタントというと、カラフルな図や写真が用いられたパワーポイントの資料を作成することが重要な仕事であると思われがちだが、最も重要なのは言葉で表現すること。結論やその結論を支える根拠を短く簡潔に文章で表現することこそコンサルタントにとって最も重要な技能といえる。
本書でも箇条書きは「凡庸にして最強スキル」として説明されており、箇条書きを効果的に用いるためのテクニックが紹介されている。新人でも比較的に短期間で伸ばすことができる能力なので、本書を読み、実践することをおすすめしたい。
プレゼンテーション
外資系コンサルのプレゼンテーション術―課題解決のための考え方&伝え方
ビジネスにおけるプレゼンテーションの位置づけ、マインドセット、準備、資料作成、発表まで、プレゼンテーションの一連のプロセスを学ぶことができる。誰にでも同じようにプレゼンをするのではなく、目的、聞き手の立場によってプレゼンの方法をどのように変えればよいかがわかる。
Excel
外資系投資銀行がやっている 最速のExcel
Excel本というとテクニックを紹介する本が多いが、本書はチームでExcelでの資料を効率的に作成するための進め方が紹介されており、実務で役立つ内容となっている。「アウトプットイメージを作成する⇒設計図を作る⇒ロードマップを作る」という設計の具体的なやり方が掲載されており、非常に実践的な内容になっている。後半はExcelのテクニックが紹介されているが、投資銀行で実際に活用されているテクニックをショートカットと併せて学習することができる。
神速Excel
Excelは、コンサルタントが日常的に使用するツールである。しかし、重要なのは、「どのように使うか」ではなく「いかに速く使うか」です。日々のコンサルティング業務で使う機能や関数はそれほどレベルが高いわけではなく、また、使い方がわからなければ調べれば済む内容がほとんどである。重要なのは、Excelを用いて最速でアウトプットを出すことである。
本書ではExcelを速く扱うことをテーマとして様々なテクニックが紹介されている。コンサルタントはこのようなテクニックを用いて可能な限り作業を速くすることがクライアントへの価値へとつながる。1日に減らせる作業時間は10分程度かもしれないが、年220日働くとすると年間で2,200分(=36時間以上)もの作業時間を削減することができる。Excelの作業のスピードアップは今日にでも取り組めるので、是非本書を隣に置いて日々の業務を行うことをおすすめする
リサーチ
戦略
シンプルな戦略
言うまでもなく、ビジネスにおいて戦略とは必要不可欠で非常に重要なものである。一方で、難しく考える必要はなく、シンプルに次の質問に答えられるかが重要となる。
Q1 顧客にとって、うれしいことかどうか
Q2 それは他の会社とは違うのか
Q3 自社は儲かるのか
戦略がシンプルでなければ、達成すべき目的や戦略の有効性がぼやけてしまう。緻密に分析を行い戦略を練ることももちろん重要だが、それ自体が目的となってしまい、戦略として持つべき本質を失ってしまっては本末転倒である。コンサルタントは、戦略をシンプルに考え、クライアントへのコンサルティングや提案を行っていく必要がある。
本書では、上記質問を軸に具体的な事例を用いた戦略検討のプロセスが解説されている。
ビジネスモデル
サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル
消費者の関心が「所有」から「利用」に変わりサブスクリプション(一定の利用期間に応じて料金を支払う方式)が注目を集めている。本書では、サブスクリプションの仕組み、事例、企業がサブスクリプション・モデルに移行するために組織をどう変えればよいのかを、イノベーション、マーケティング、営業、ファイナンス、ITといった機能別に学ぶことができる。
システム
システム設計の先導者 ITアーキテクトの教科書 改訂版 (Japanese Edition)
システム構築においてITアーキテクトが担う役割を学ぶことができる。各プロセスのタスクや成果物についても解説されており、エンジニアではないビジネスサイドの人もシステム構築での動き方を学ぶことができる。
AI
AI白書
日本におけるAIの研究開発の動向、国内外のAIの活用事例、DX、AI、人材育成、およびスマートシティや医療などAIの社会実装における今後の展望を学ぶことができる。AIを活用したビジネスに取り組まれている事業責任者やコンサルタントがAIで何ができるかを知るのに役立つ一冊。
人工知能は人間を超えるか
人工知能は実力よりも期待感が上回っているとして、人工知能にできること、できないことを正しく理解することの重要性を語る。人工知能の歴史を概観したうえで、第3次AIブームの現在においてどのような人工知能の活用方法があるかを解説。その上で、人工知能が人間を超える可能性があるのか、今後の展望を概観する。
ディープラーニング活用の教科書
AIやディープラーニングが実社会でどのように役立つのか活用事例が掲載されている。
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