上司を納得させるためのSWOT分析の使い方を解説 -SWOT分析は役に立たない?

この記事のサマリ
  • SWOT分析は非常に有名なフレームワークですが、使い方を誤ると役に立たないフレームワークとなる
  • SWOT分析の問題点とその解消方法は以下の通り整理される
    1. 要素に網羅性が欠ける⇒整理の軸を定める
    2. 分類分けが主観的になってしまう⇒定量的に評価・比較する
    3. ただ整理しただけでしかない⇒TOWS分析(クロスSWOT分析)を行う
  • TOWS分析を行ったとしても打ち手のアイデアが広がるのみで、結論を導き出すものではないことに注意

ビジネスにおいて最も有名なフレームワークの一つにSWOT分析があります。

「新規事業を考えて」という指示があった際にまずはSWOT分析を試みる人も多いのではないでしょうか。また、商品企画など資料のテンプレートとして採用している企業もあります。

そんなSWOT分析ですが、実際のビジネスの現場ではあまり役には立たないです。その理由はSWOT分析が単なる情報整理のツールでしかないからです。

そんなSWOT分析も少し工夫することによって有効に活用することができます。以下では、SWOT分析の問題点とその解消方法を解説し、正しいSWOT分析の使い方を示したいと思います。

目次

SWOT分析とは

SWOT分析とは、自社を取り巻く内部環境と外部環境を好影響と悪影響に分けて、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つについて分析を行うフレームワークです。

好影響悪影響
内部環境強み(Strengths)弱み(Weaknesses)
外部環境機会(Opportunities)脅威(Threats)

内部環境とは、ヒト・モノ・カネ・情報といった会社の資源や立地、経験などの要素を指します。外部環境とは、経済状況、市場の動向、競合の動き、規制などの要素を指します。

例えば、スポーツジムを例にSWOT分析をすると下記のようになります。

スポーツジムを例にしたSWOT分析

好影響悪影響
内部環境強み(Strengths)
駅から近い
マシンの量が多い
優秀なトレーナーが在籍している
弱み(Weaknesses)
月会費が高い
施設が狭い
営業時間が限られている
外部環境機会(Opportunities)
人々の運動習慣の高まり
周辺地域に若者が多い
フィットネス業界の就業者の増加
脅威(Threats)
近隣に安価な24時間ジムの開店
ダンベルなどの価格高騰
マナーの悪い客の増加
スポーツジムを例にしたSWOT分析

一見すると各要素が整理されており、分かりやすい表にも見えますが、実際はこれだけではほとんど使えません。

SWOT分析が使えない理由

SWOT分析が使えない理由には大きく3つあります。

  1. 要素に網羅性が欠ける
  2. 分類分けが主観的になってしまう
  3. ただ整理しただけでしかない

要素に網羅性が欠ける

SWOT分析で整理されている要素は、何かルールがあって洗い出されているわけではなく、作成者の思い付きによる部分が大きいです。例えば、以下の分析においてもすべての要素が網羅されているわけではありません。

内部環境の観点では、「マシンの量が多い」ありますが、どのような種類のマシンがあるかは記載されていません。マシンが多くても、ユーザーのニーズを満たすマシンがなければ、それは強みとは言えません。

また、外部環境の観点では、法規制の観点が抜け漏れています。スポーツジム業界においてどのような規制が存在し、それが経営にどのような影響を与えるかはきちんと分析する必要があります。

好影響悪影響
内部環境
⇒マシンの種類は?Wi-Fiなどの設備は?広告宣伝は?
強み(Strengths)
駅から近い
マシンの量が多い
優秀なトレーナーが在籍している
弱み(Weaknesses)
月会費が高い
施設が狭い
営業時間が限られている
外部環境
⇒法規制は?技術動向は?他のスポーツ施設が競合になる可能性は
機会(Opportunities)
人々の運動習慣の高まり
周辺地域に若者が多い
フィットネス業界の就業者の増加
脅威(Threats)
近隣に安価な24時間ジムの開店
ダンベルなどの価格高騰
マナーの悪い客の増加
スポーツジムを例にしたSWOT分析

このようにSWOT分析では、各要素の網羅性が欠けてしまうという点で、正しい分析とはならないのです。

分類分けが主観的になってしまう

SWOT分析の四象限をどのように分類するか、人によって判断が異なってしまうという点も問題となります。

例えば、「月会費が高い」と記載がありますが、”高い”とは何円からを高いというのでしょうか。「1万円から」という人もいれば、「5千円から」という人もいるかもしれません。

また、「月会費が高い」というのは本当に「弱み」なのでしょうか。月会費が高いと入会する人は減ってしまうかもしれません。一方で、月会費を高くすることでサービスを充実させ、品質を高くすることもできます。月会費を高くすることで、モラルの高い人だけ入会できるようにし、ジム内の環境を維持するといった影響もあるかもしれません。

好影響悪影響
内部環境強み(Strengths)
駅から近い
マシンの量が多い
優秀なトレーナーが在籍している
弱み(Weaknesses)
月会費が高い
施設が狭い
営業時間が限られている
外部環境機会(Opportunities)
人々の運動習慣の高まり
周辺地域に若者が多い
フィットネス業界の就業者の増加
脅威(Threats)
近隣に安価な24時間ジムの開店
ダンベルなどの価格高騰
マナーの悪い客の増加
スポーツジムを例にしたSWOT分析

このようにSWOT分析では、分類分けが主観的になってしまうという点で、正しい分析とはならないのです。

ただ整理しただけでしかない

SWOT分析の一番の欠陥は、四象限で要素を整理したからといって何らかの結論や示唆が得られるわけではないということです。

強みである、「駅から近い」「マシンの量が多い」「優秀なトレーナーが在籍している」という点から、次にどのような打ち手を立てれば良いのでしょうか。SWOT分析の表には事実しか書かれていないため、今後どのような対策が必要なのか、どのように強みを生かせばよいか、を考えるためにはあまり役に立たないのです。

好影響悪影響
内部環境強み(Strengths)
駅から近い
マシンの量が多い
優秀なトレーナーが在籍している
弱み(Weaknesses)
月会費が高い
施設が狭い
営業時間が限られている
外部環境機会(Opportunities)
人々の運動習慣の高まり
周辺地域に若者が多い
フィットネス業界の就業者の増加
脅威(Threats)
近隣に安価な24時間ジムの開店
ダンベルなどの価格高騰
マナーの悪い客の増加
スポーツジムを例にしたSWOT分析

このようにSWOT分析では、ただ整理しただけでしかないため、次の打ち手を考える

SWOT分析を使える分析にする

SWOT分析を使える分析にするためには、次の3つのポイントが重要です。

  1. 整理の軸を定める
  2. 定量的に評価・比較する
  3. TOWS分析(クロスSWOT分析)を行う

整理の軸を定める

SWOT分析の内部環境・外部環境においてそれぞれ整理の軸を定めることによって、一定程度網羅性を持って要素を洗い出すことができます

例えば、内部環境を「4P(商品:Product、価格:Price、広告宣伝:Promotion、流通:Place)」の軸で、外部環境を「PEST(政治:Politics、経済:Economy、社会:Society、技術:Technology)」の軸で整理してみます。このようなフレームワークを活用することにより、完璧ではありませんが観点の抜け漏れを防ぐことができます。

好影響悪影響
内部環境強み(Strengths)弱み(Weaknesses)
商品:Productマシンの量が多い
優秀なトレーナーが在籍している
施設が狭い
営業時間が限られている
価格:Priceコストベースで見た場合、適切な価格設定月会費が高い
広告宣伝:Promotion有名芸能人を使ったテレビCMネット広告は不十分
流通:Place駅から近い駐車場がない
外部環境機会(Opportunities)脅威(Threats)
政治:Politicsフィットネス業界への補助金の増加開店までの許可申請のハードルが高い
経済:Economyフィットネス業界の就業者の増加近隣に安価な24時間ジムの開店
ダンベルなどの価格高騰
社会:Society人々の運動習慣の高まり
周辺地域に若者が多い
マナーの悪い客の増加
技術:Technologyジムで使えるヘルスケア系のアプリ登場オンラインフィットネスなど自宅でトレーニングできるサービスの増加
スポーツジムを例にしたSWOT分析

このように整理の軸を定めることによって、各要素の網羅性が欠けてしまうという点を解消することができます。

定量的に評価・比較する

SWOT分析において洗い出した各要素は定量的に評価し、競合他社や業界平均と比較することによって、四象限への分類分けを正確に行うことができます。

先ほど整理の軸を定めた内部環境について、更に細分化を行い、競合A社と比較してみます。それぞれのデータを数字で表すことによって四象限の分類分けに説得力を持たせることができます。また、競合として捉えている企業と比較することによって、各要素が強みなのか、弱みなのかを判断することができます。

自社競合A社
商品:Productマシンの数20台⇒強み15台
マシンの種類胸・背中・脚のマシン⇒弱み胸・背中・脚・腕・肩のマシン
価格:Price月会費10,000円⇒弱み7,000円
入会費なし⇒強み10,000円
広告宣伝:Promotion認知度18歳以上の認知度:50%
強み
18歳以上の認知度:30%
ネットからの申し込み件数年間5,000件⇒弱み年間7,000件
 流通:Place駅からの距離徒歩5分⇒強み徒歩10分
駐車場なし⇒弱み自動車5台分
スポーツジムを例にした内部環境の比較

このように定量的に評価・比較することによって、分類分けが主観的になってしまうという点を解消することができます。

TOWS分析(クロスSWOT分析)を行う

SWOT分析で整理した強み・弱みに対して機会・脅威を掛け合わせることによって、どのような打ち手が必要か考えるヒントを得ることができます。これをTOWS分析(クロスSWOT分析)といいます。

強み(Strengths)弱み(Weaknesses)
機会(Opportunities)強み×機会⇒積極攻勢策弱み×機会⇒弱点強化策
脅威(Threats)強み×脅威⇒差別化策弱み×脅威⇒防衛/撤退
TOWS分析

強み・弱み・機会・脅威の四象限からいくつかの要素をピックアップしてTOWS分析を行ってみます。各要素を組み合わせることによって打ち手のアイデアを立てやすくなります。

強み(Strengths)
マシンの数が多い(20台)
弱み(Weaknesses)
月会費が高い(10,000円)
機会(Opportunities)
フィットネス業界への補助金の増加
補助金を活用してマシンの数を増やすことで、強みを更に先鋭化させる補助金を活用して月会費を下げる
脅威(Threats)
近隣に安価な24時間ジムの開店
待たずにマシンを使うことができるという点をアピールポイントとする24時間ジムとは別のターゲットを狙い、価格競争を避ける
スポーツジムを例にしたTOWS分析

このようにTOWS分析(クロスSWOT分析)を行うことによって、SWOT分析におけるただ整理しただけでになってしまうという課題を解消することができます。

ただし、このTOWS分析に関しても、打ち手のアイデアが出るだけで、最終的な結論が導き出せるわけではありません。ここから挙げられたアイデアをベースに、打ち手の有効性、実現性の検証、優先順位付けなどを実施する必要があります。TOWS分析に関しても決して結論を導き出すためのフレームワークではなく、打ち手のアイデアを広げるためのツールであるということを理解して使用する必要があります。

まとめ

上記の通り、SWOT分析は非常に有名なフレームワークですが、正しく使用しないと役に立たないフレームワークとなってしまうのです。SWOT分析に限らずですが、フレームワークに固執して本来達成したい目的を見失ってしまうことがあります。なので、フレームワークを使用する際は、そのフレームワークの位置づけの理解、問題点の考慮、結果の検証などを行い、本来の目的を達成するための使い方を考えていく必要があります。

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この記事を書いた人

Junyaと申します。都内のコンサルティングファームで働いております。まだまだ若輩者ですが、私の得た経験や感じたことを本ブログで紹介できればと思います。
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