本記事においては、コンサルタント向けのおすすめ書籍を紹介したいと思います。特に新卒でコンサルティングファームに入社された方、他業界からコンサル業界に転職された方向けのものになります。
知識や経験の浅い新人のコンサルタントが、クライアントに対して早期に価値提供するためには、特に次の2つをできるようになる必要があります。
分かりやすく説明すること
あらゆる作業のスピードを高めること
言い換えると、上記の2つができていれば、たとえ新卒1年目のコンサルタントであってもクライアントから良い評価を頂くことができます。
今回は上記の2つを達成することを主眼に基本的な思考方法・スキルが最短で身に着けることができる書籍を厳選しました。
コンサルタントの基本思考
イシューからはじめよ
人は問題・課題に直面した時、どうしても答えや解決策を導くことに急ぎがちです。しかし、世の中の問題や課題は簡単に答えを出せるほど単純なものではありません。特にビジネスの世界では問題・課題はさらに複雑で、解決のための時間やお金・情報といった制約が存在します。そのため、我々コンサルタントは問題・課題をシンプルにし、真に解決すべきイシューを明らかにする必要があるのです。また、イシューはすべて解決すべきではなく、良いイシュー(本書では「本質的な選択肢である」「深い仮説がある」「答えを出せる」イシュー)を解決する必要があります。本書では、イシューの見極め方、分析方法、解決方法、表現方法がコンサルタントの視点でまとめられております。新人コンサルタントの方やこれからコンサルタントを目指そうとする方には、是非手に取って読んでいただきたい一冊です。
論点思考
我々コンサルタントは日々「論点」という言葉を「このプロジェクトの論点は何か」「解決に向けた論点は何か」というように日常的に用いています。論点とは「解くべき問題」のことで、解くべき問題を定義するプロセスを論点思考と呼びます。コンサルタントはクライアント企業の悩みや問題を解決することが仕事です。ですが、この悩みや問題を解決するため、思いついた解決策をいくらでも取ることができるわけではありません。その問題に取り組める人や時間あるいは予算といった制約があるためです。そのため、我々コンサルタントは最も効果的かつ効率的に問題を解決するため、「解くべき問題」を定義するのです。コンサルタントは「優れた解決策を提示すること」よりも「正しい問題を解くこと」が何よりも重要だと私は考えています。本書では、論点の定義、論点を導くプロセス・手法を実例を用いて紹介しています。
仮説思考
論点思考に対応する考え方が仮説思考です。コンサルタントとなると上長から「あなたの仮説は何か」ということを日常的に問われます。仮説とは、論点に対する「まだ証明はしていないが、最も答えに近いと思われる答え」である。私たちが日常で直面する問題は、「過去に行くにはどうすればよいか」という無理難解な問題ではなく、ある程度の知識によって答えを出すことができます。コンサルタントはまず、論点に対する仮説を知識や経験から導き出し、その仮説を証明するために必要なファクト・データを収集します。仮説が明確であれば証明に必要なファクトやデータが限定されるので、問題解決のスピードが格段に向上します。逆に、仮説を立てずに問題解決を行おうとすると調査・分析すべきデータ・ファクトは無限に広がり、スピーディーな問題解決は実現しません。
本書では、仮説の定義、その必要性、立て方、検証方法が詳しく説明されています。コンサルタントの必読書といっても良いくらい重要な考え方がまとめられていますので、是非手に取ってみてください。
シンプルな戦略
ビジネスにおいて戦略とは必要不可欠で非常に重要なものです。一方で、難しく考える必要はなく、シンプルに次の質問に答えられるかが重要となります。
Q1 顧客にとって、うれしいことかどうか
Q2 それは他の会社とは違うのか
Q3 自社は儲かるのか
戦略がシンプルでなければ、達成すべき目的や戦略の有効性がぼやけてしまいます。緻密に分析を行い戦略を練ることももちろん重要ですが、それ自体が目的となってしまい、戦略として持つべき本質を失ってしまっては本末転倒です。コンサルタントは、戦略をシンプルに考えクライアントへのコンサルティングや提案を行っていく必要があるのです。本書では、上記質問を軸に具体的な事例を用いた戦略検討のプロセスが解説されています。
コンサルタントの基本的スキル
超・箇条書き
議事録作成する能力はコンサルタントにとって基本的な能力であり、非常に重要な能力です。短時間で分かりやすい議事録を仕上げるには、テクニックや練習が必要となります(下記事参照)。箇条書きというのは議事録作成、あるいは、メモ・資料作成において非常に有用なツールとなります。
コンサルタントというと、カラフルな図や写真が用いられたパワーポイントの資料を作成することが重要な仕事であると思われがちですが、最も重要なのは言葉で表現することなのです。結論やその結論を支える根拠を短く簡潔に文章で表現することこそコンサルタントにとって最も重要な技能といえます。本書でも箇条書きは「凡庸にして最強スキル」として説明されており、箇条書きを効果的に用いるためのテクニックが紹介されています。新人でも比較的に短期間で伸ばすことができる能力なので、本書を読み、実践することをおすすめします。
神速Excel
Excelは、コンサルタントが日常的に使用するツールです。しかし、重要なのは、「どのように使うか」ではなく「いかに速く使うか」だと思います。日々のコンサルティング業務で使う機能や関数はそれほどレベルが高いわけではなく、また、使い方がわからなければ調べれば済みます。それより重要なのは、Excelを用いて最速でアウトプットを出すことです。本書ではExcelを速く扱うことをテーマとして様々なテクニックが紹介されています。コンサルタントはこのようなテクニックを用いて可能な限り作業を速くすることがクライアントへの価値へとつながるのです。1日に減らせる作業時間は10分程度かもしれませんが、年220日働くとすると年間で2,200分(=36時間以上)もの作業時間を削減することができるのです。Excelの作業のスピードアップは今日にでも取り組めるので、是非本書を隣に置いて日々の業務を行うことをおすすめします。
外資系コンサルのプレゼンテーション術・外資系コンサルのスライド作成術
プレゼンというのはコンサルタントにとって非常に重要な仕事です。営業を行う際のプレゼンや日々の定例会でのプレゼン、最終報告でのプレゼンなど、プレゼンを行う機会は非常に多いです。そしてコンサルタントのプレゼンというのは期待値が非常に高いです。その期待値に応えられなければ、我々コンサルタントはバリュー(価値)がないと判断されてしまいます。そのため、いかに魅力的な提案をクライアントにとって分かりやすく、そしてクライアントが次の行動を起こせるように伝えることが重要なのです。「プレゼンテーション術」では、魅力的なプレゼンを行うためのプレゼンの設計・構成、資料作成の方法、プレゼンテーションの仕方が一連のプロセスごとに整理され紹介されています。また、「スライド作成術」では、クライアントにわかりやすく伝えるための具体的な図解や構成の方法が詳しく紹介されており、日々の資料作成でそのまま活用できるテクニックが紹介されています。
外資系コンサルのリサーチ技法
我々コンサルタントは、日々の業務の中でリサーチを行うことが多いです。しかし、コンサルタントに求められているのはただ情報を集めるのではなく、情報を読み解き価値のあるインサイト(洞察)を導出する必要があります。そのため、漫然と取り組むのではなく、リサーチの目的をきちんと踏まえたリサーチの設計を行う必要があるのです。本書では、基本的なリサーチな流れ、どのようなソース(情報源)から情報を得るのか、また、情報の収集・分析・解釈の方法が紹介されています。また、ケーススタディもあるので、実際に手を動かしながら学ぶことをおすすめします。
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