コンサル流の議事録の書き方・テクニック

社会人として働き始めの新人は会議における議事録作成を任せられることが多いです。コンサルタントであれば、ほぼ確実に求められます。「会議の内容をまとめるだけで簡単」と考える方もいらっしゃると思いますが、短時間で精度が高くわかりやすい議事録を作成することは非常に難しいです。一方で議事録作成にはコンサルタントに必要な基礎スキルが求められるため、これをこなすことができれば確実なスキルアップを期待することができます。

本稿では、議事録作成のポイント・テクニックを私の経験を踏まえご紹介したいと思います。

目次

議事録の目的とその重要性

議事録を作る目的としてまず思いつくのが、会議の欠席者への議事内容の共有です。会議に出席できなかったキーパーソンに対して正確に情報を伝える必要があり、まず間違いは許されないです

もう一つ大きな目的としては、合意事項・決定事項の証跡を残すことです。一度会議で決定した内容を再び蒸し返してしまうとプロジェクト全体の推進を妨げることになります。(※勿論、合意事項・決定事項に大きな不備があれば再検討すべきですが、たった一人の感情的な理由から合意した内容が覆ることはあってはならないです。)

一度合意した内容の蒸し返しを防ぎ、プロジェクトを円滑に進めるためにも議事録というのは非常に大きな意味を持ちます。

そのため、議事録には最低限その会議で合意した内容、決定した内容が正確に記載されている必要があります

議事録に書く4つの要素

それでは実際に議事録作成の方法を見ていきましょう。

議事録には大きく「会議の情報」、「目的・アジェンダ」「合意事項・決定事項・宿題事項」、「議事内容」の4つの要素が必要になります。

会議の情報

プロジェクト内では多数の会議が開催されるため、きちんと会議が一義的に特定できる必要があります。そのため、会議の情報は詳細に記載する必要があり、以下の内容を記載する必要があります。

  • 会議名:会議の内容が明確な名称が望ましい。定例会であれば第〇回を付す。
  • 開催場所:〇〇社××会議室のような記載。
  • 時間:〇〇年××月△△日 XX:XX~YY:YY(Z時間)のような記載。
  • 出席者:会社名・所属・役職・名前を記載し、役職の高い順に並べます。クライアント側の出席者には敬称をつけることが望ましいです(予め(敬称略)とつけておいても良いと思います)。

上記を記載しておけば、合意された内容が「いつの会議で、誰が出席している会議で合意されたのか」が明確になります。

目的・アジェンダ

通常の会議であれば、予め会議の目的やアジェンダ(議題)が決定されています。会議の目的とは、その会議で何を決定したいのか、合意したいのかというゴールですアジェンダは、そのゴールに到達するために議論すべき内容を表します

合意事項・決定事項・宿題事項

議事録作成において非常に重要なパートです。

  • 合意事項:その会議において全員の意見が一致した内容。この合意事項に従いプロジェクトを推進する。
  • 決定事項:会議後に誰がどのような役割を担い、プロジェクトを遂行するかといったネクストアクションなど。
  • 宿題事項:その会議内では合意できなかった議題や会議内で新たに生じた論点など。

議事内容

上記の合意事項等の経緯、理由、根拠等を示す会議出席者の発言をまとめます。なぜその内容で合意したのか、なぜその決定を行ったのかを示す根拠は非常に重要になるので、正確に発言内容・発言者を抑える必要があります。但し、発言をそのままだらだら書くべきではなくきちんと要点を抑えて記載することが求められます。

議事録作成のプロセス

では次に具体的な議事録作成のプロセスを見ていきましょう。「会議前→会議中→会議後」の順に見ていきたいと思います。

会議前

会議の前に上記の「会議の情報」、「目的・アジェンダ」は記載しておきましょう。欠席者に対して速やかに情報連携をするため、議事録の完成は可能な限り早く行う必要があります。

また、事前に会議の流れをシミュレーションしておきましょう。各議題においてどのような質問・意見が出てきそうか、それに対してどのような回答があり得るか、想定しておきましょう。また、専門用語等はきちんと意味を事前に調査しておくことが望ましいです。

会議中

会議中は無暗にメモをするのではなく、きちんと議論の流れを意識したうえで、要点を抑える必要があります。議論の最小単位は、問題提起が行われ、それに対する意見の応酬、最終的な合意という流れで行われます。

メモを取るうえで意識すべき点は、意見の応酬においてきちんと合意事項・決定事項の根拠となる意見をきちんと抽出することです。会話の中では、同じ意見を少し言い換えただけの発言や論点から大きく逸脱したような発言が発生することがあります。そのような発言までもメモをしていては本当に重要な点が漏れてしまうリスクがあります。

論点は何か、その論点に対する意見はいくつあり、誰が支持をしているのか、意見間の対立点は何か、最終的な合意内容は何かということを会議中に理解し、必要部分をメモしていくことが重要になります。

また、可能であれば、合意事項・決定事項・宿題事項は会議中にメモした内容が正しいか確認しましょう。これには、メモした内容の正確性を保つという他に会議出席者内できちんと合意した内容の認識を合わせるという点でも重要な意味を持ちます。

会議後

会議後の作業はなるべく少ないのが理想的です。

会議中にメモした内容を見直し、文章として不自然な点がないか、説明不足な点がないかを確認し、必要に応じて追記しましょう。会議では「これ」、「それ」といった指示語が使われ、議事録だけを見ても何を指しているかわからないこともあるので、その内容を明らかにする必要があります。会議内では発言されていない内容でも適切な言葉を補いましょう。

最終的に、「会議の情報」、「目的・アジェンダ」「合意事項・決定事項・宿題事項」、「議事内容」の4つの要素を備えているか、誤字・脱字等ないか確認すれば、議事録は完成です。

議事録作成の5つのテクニック

最後に議事録作成に役立つテクニックを5つ紹介したいと思います。

箇条書きで記載する

議事録は箇条書きを使って作成しましょう。その理由は議事内容の構造が明確になるからです。例えば下の画像のように議題・論点・意見のレベルがそろっていれば、それぞれの数やどの論点に対してどのような意見があったのか一読して理解できます。

そのため、Wordファイル等デフォルトで箇条書きの設定がされているツールを使用して作成することをお勧めします。

5W1Hを明確にする

「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」を明確に記載しましょう。会議では口頭でのやり取りが行われるため、これらが省略されることがほとんどです。しかし、会議に出席していない人にとっては、文章に必要な要素が欠けていると意味を理解することが困難となります。なので、会議では発言されなかったことでも適切な言葉を補い、5W1Hを明確にしましょう。

ミスのない正確なメモ

議事録作成ではメモの速さよりも正確さを重視しましょう。勿論、両方を満たすことが理想的ですが、現実的には難しいです。タイプミスは時間のロスだけでなく、会議への集中力を低下させる原因にもなります。

フォーマットを作成する

予め、上記の4つの要素を記載できるフォーマットを作成しておきましょう。会議後の議事録の体裁を整える時間を短縮することができる他、他の人が議事録を作成することになっても体裁の一貫性を保つことができます。

録音をしない

これは意見の分かれるところだと思いますが、私は会議の録音はしない(録音したとしても聞かない)ことをお勧めします。その理由としては以下の通りです。

  • クイックに構造化・言語化する能力が磨かれな
  • 会議のメモに集中することができない(録音があると安心してしまい、メモを怠ってしまう)
  • 録音内容を聞く時間がもったいない

勿論、聞き逃しはあってはならないので、初めは録音しても良いと思いますが、慣れてきたら録音はしても議事録作成の際は聞かないというように自分なりのルールを作ると良いと思います。

以上、コンサル流の議事録の書き方・テクニックを整理しました。勿論、コンサルに限った話ではないのですが、スピードと精度、プロジェクトを推進する能力が求められるコンサルにとっては、議事録の目的と重要性を理解した上で上記の書き方・テクニックを実践することが特に必要だと考えております。

議事録作成で悩んでいる新人コンサルの方がいれば是非参考にしてみてください。

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この記事を書いた人

Junyaと申します。都内のコンサルティングファームで働いております。まだまだ若輩者ですが、私の得た経験や感じたことを本ブログで紹介できればと思います。
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