2021年7月31日の新型コロナウイルスの国内感染者は1万2342人となり、感染者の累計は92万6342人となりました。私の身近にも感染者が現れ始め、もはや感染拡大を止めることは難しいと感じております。緊急事態宣言下にもかかわらず、感染者が増加するということは政府の感染拡大防止策が上手くいっていないと思われます。
そこで気になるのが、政府の感染拡大防止策の一つである接触確認アプリCOCOAは今きちんと機能しているのでしょうか。厚生労働省よりCOCOAの最新情報が示されたので、少し調べてみました。
接触確認アプリCOCOAの概要
そもそも接触確認アプリCOCOAが何か知らない人も多いと思います。COCOAアプリをダウンロードしていれば、陽性者と接触した場合、接触したことの通知を受けることができるアプリです。これにより、通知を受けた人は早期に受診することができ、感染拡大防止にもつながります。また、通知する際にも誰が感染したのか分からないようになっており、きちんとプライバシーが保護されています。
しかし、このアプリが機能するには以下のような条件があります。
- 感染者と接触者の両方がアプリをダウンロードしていること
- 感染者と接触者の両方がブルートゥースをオンにしていること
- 感染者と15分以上接触すること
- 感染者の同意のもと、感染したことがアプリに登録されること
そもそもの前提として、多くの人がアプリをダウンロードしていないと、感染拡大防止の効果は大きくならないのです。
COCOAの利用状況
それでは、COCOAの利用状況はどうなっているか見ていきたいと思います。
2021年7月30日におけるCOCOAのダウンロード数は2,916万件です。数だけ見れば非常に多く見えますが、全国民1億2536万人に対する割合としては23.3%と少なく、十分に普及しているとは言えないでしょう。(1人1件ダウンロードとする)
次に陽性登録者数ですが、2021年7月30日におけるCOCOAの陽性登録者数は21,931人です。一方で、7月30日までの累計の陽性者は914,777人なので、陽性者の登録割合は約2%にとどまります。全体の陽性者から見れば登録されている割合はわずかであるため、COCOAはあまり機能していないように見えます。
COCOA利用率が低くても効果はある
しかし、COCOAの利用率が低いからといって一切効果がないわけではありません。
下図は日本大学 生産工学部マネジメント工学科が発表したCOCOAによるCOVID-19感染者数の削減効果です。約半数の人がアプリを利用し、それを通じて感染者と接触したことを知った者が外出を半減させた時、累計感染者数は半減することが示されています。アプリ利用率が低くとも、接触を知った人がきちんと外出を自粛することにより、大きな感染拡大防止の効果が期待できるのです。
このシミュレーションによれば、感染者数を半減されるためのアプリ利用率と外出自粛度の関係は次の通りになります。
- ⼈⼝の80%がアプリを利⽤し、接触者は外出を20%控える。
- ⼈⼝の60%がアプリを利⽤し、接触者は外出を40%控える。
- ⼈⼝の40%がアプリを利⽤し、接触者は外出を60%控える。
なので、アプリ利用率が低いから効果がないわけではなく、接触通知を受けた人がきちんと外出を自粛すれば感染拡大防止につながるのです。
まずはアプリをダウンロードすること
現状、COCOAの利用率は低く、感染が大きく加速している現在でもアプリのダウンロード数はあまり伸びていません。アプリの不具合で一部の端末に通知が届いていなかったことも発覚し、国民の中に不信感があるということもダウンロードが進まない一つの原因だと思います。しかし、COCOAが多くの人が利用していれば、感染の早期発見、自発的な外出自粛につながることは間違いないと思います。
なので、まずはアプリをダウンロードしましょう。ダウンロードは数分で済みます。その手間を惜しむことによって多くの医療費が発生し、国民の負担が大きくなることもあります。すなわち、自分の首を自分で絞めてしまう可能性もあるのです。そして、アプリの通知を受けた人は外出を自粛する。これだけでも大きな感染拡大防止の効果が得られるのです。
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