あなたの身を守るための防犯ソリューション -テクノロジーが実現する安全な社会

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昨今、電車での無差別刺傷などが相次いで発生しており、不安が募る世の中になっています。そんな中テクノロジーを活用し、犯罪を防ごうとする取組がにわかに注目を集めています。本記事では、テクノロジーを活用した防犯ソリューションを紹介したいと思います。

テクノロジーを活用した防犯ソリューション

不審者事前検知システム DEFENDER‐X(ELSYS JAPAN)

DEFENDER‐Xは監視カメラで撮影した映像を基に、人物のわずかな体の揺れから、攻撃性、緊張度、ストレス等の約50のパラメーターを解析し、不審者を検知するシステムです。

DEFENDER-X
防犯監視システムDEFENDER-Xは人の精神状態を振動によって解析し不審者と思われる者を検知するシステムです。

監視カメラの映像から人の精神状態を解析し、解析結果から不審者を検知し、赤枠で表示します。不審者を事前に検知することにより、犯罪を未然に防ぐことができます。また、人の体の揺れ等から不審者を検知するので、指紋や顔認証と異なり、照合データベースが不要というメリットがあります。過去に犯罪歴がない人も検知できるので、犯罪の予防効果がより向上します。

出所:システムスクエア株式会社

気になるのは不審者検知の精度ですが、過去ソチオリンピックでDEFENDER‐Xが実際に使用されました。その結果、1日当たり約2,620人の不審者を検知され、検知された人の92%に入場拒否理由が見つかったとのことです(薬物・酒類・火薬類その他の持込禁止:72%、異常行動:8%、その他チケット無しなど:20%)。このことからかなり高い精度で不審者を検知することができるといえます。

本体価格は250万円で、カメラは2台まで運用できるようです。リース契約の場合、6年リースで39,800円/月で約287万円となります(株式会社シールドのリース契約)。駅のすべての監視カメラに導入すると考えると、かなりコストがかかってしまいますね。

NTTドコモと富士通が開発している不審者検知システムもおそらくDEFENDER‐Xと同じシステムを用いていると思われます。

NTTドコモ様、5Gによる新たな価値創出に向け、富士通の不審者検知ソリューションを採用 : 富士通
当社はNTTドコモ様に対し、5Gによる新たな価値創出に向け、不審者検知ソリューションを提供。

ミリ波レーダーを活用した危険物検知システム(東芝)

東芝は、ミリ波レーダーを照射し、衣服に隠れた危険物を可視化するシステムを開発しています。銃、ナイフ、爆薬、ガソリンの電磁波を反射する性質を利用して、反射の特性から危険物を判別する仕組みです。ガソリンとお茶などの飲料の区別は、電磁波の反射の仕方により区別を行っているようです。

研究開発ライブラリ テロ対策に最適な高性能電波イメージング技術を開発−ミリ波レーダーを活用して衣服の下に隠した危険物の検知をウォークスルー方式で実現、公共スペースで通行を妨げない警備システムの構築を促進し、テロの未然防止に貢献− | 研究開発センター | 東芝
株式会社東芝 研究開発センターのページです。

このシステムの利点は、一人一人の手荷物を立ち止まり検査を必要とせず、ウォークスルー方式で検査できる点です。これにより、多くの人数を短時間で検査でき、利用者も立ち止まることなく検査を受けることができます。

図1:新たな検査方式の導入による効率化イメージ
出所:東芝プレスリリース

まだ、サービスとして提供はされていませんが、これが実用化され駅などに導入されれば、安心して電車を利用することができそうです。

ファイヤープリベンション AIシステム(アースアイズ)

ファイヤープリベンション AIシステムは、防犯カメラを用いて火と煙を検知するシステムです。

ファイヤープリベンション AIシステム - アースアイズ株式会社

ファイヤープリベンション AIシステムは夜間でも火や煙を検知でき、火の大きさ・方向・距離なども把握することができます。放火や火災により多くの人の命が奪われる事件が発生し、早期に避難・消火を行うことの重要性の認識は高まっています。このようなソリューションにより、放火や火災による被害を最小限に抑えることができるのではないでしょうか。

ファイヤープリベンション AIシステムは2022年1月の販売を予定しています。火災が発生しやすい施設(飲食店、図書館など)の他重要文化財においても活用が進んでいくと思われます。

防犯へのテクノロジー活用に向けた課題

コスト面

鉄道会社等にとって大きな懸念として、防犯ソリューションを導入するコストがあります。防犯というメリットが不確実なものに対してどこまで投資することができるかが課題となると思います。ソリューションを導入したからといって確実に犯罪を防げるとは限らないため、なかなか導入に踏み切れないと思います。防犯については社会的な公益でもあるため、国や自治体が支援して進めていくほかないように思います。

プライバシー面

また、プライバシーの観点からも課題はあります。以下の記事にもある通り、日本においては市民のプライバシーの保護と社会の安全を守ることについて十分に整理されていません。防犯カメラ等の導入により、「プライバシーの侵害」、「監視社会」といったネガティブな印象を持つ人も一定数いるようです。とはいえ、公共の安全のためには、プライバシー権の制限は合理的に思えます。この点については法的な枠組みが十分に整理されていないため、どういった状況で、どのような監視が許容されるのか具体的なガイドラインが示されることを期待します。

模倣犯も生んだ「京王線事件」 いつまで「防犯カメラ運用は慎重に」を繰り返すのか(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース
 走る電車の車中で暴漢が刃物を用いて乗客を刺し、さらに火を放ったいわゆる「京王線事件」は、8日には九州新幹線に放火する模倣犯まで生んでしまった。もともと京王線事件の犯人も、小田急線で起きた事件を参考

まとめ

以上、テクノロジーを活用した防犯ソリューションについてみてきましたが、これらが普及するには時間もコストもかかり、一朝一夕にはできないと思われます。テクノロジーの進展も重要ですが、改めて社会における防犯の位置づけ、価値を議論し、法的な枠組みや受益者・負担者を明確にする必要があるのではないでしょうか。

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