ガートナーが発表した「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2020年」ではブロックチェーンは幻滅期に位置し、主流の採用までに要する年数が2~5年となっています。今までは実証実験フェーズにあったブロックチェーン技術が、いよいよ実運用フェーズに差し掛かっているのではと考えております。
今後、事業を企画する側、開発する側、双方でブロックチェーンの知識が求められると考えられます。また、ブロックチェーンは非常に適用領域が広い技術です。金融のみならず、不動産、動産、メディア、物流、エンタメ、医療、エネルギー等活用の分野が非常に多岐にわたります。そのため、様々な産業・業種で働く方がブロックチェーンを学ばなければいけない可能性があります。
本記事では、実際にブロックチェーンのプロジェクト経験があるAmadocが、ブロックチェーンのおすすめ書籍をビジネス・技術・専門領域に分けて紹介します。
ビジネス
ここでは事業企画を行う方向けにブロックチェーンのビジネスでの活用方法を学べる書籍を紹介します。
トークンエコノミービジネスの教科書
本書は、ブロックチェーン・仮想通貨を活用したトークンエコノミーについて事例を交えつつ、分かりやすく解説されております。難しい技術の話ではなく、トークンエコノミーによってもたらされる未来に重点が置かれており、初学者でも理解しやすい内容となっています。まずは、ブロックチェーンで何が変わるのか、法定通貨とトークンの違いは何かということを知りたい方におすすめです。
こちらの書籍は現在Kindle Unlimitedで無料で読めます。(2021年3月7日現在)
実践ブロックチェーン・ビジネス
ブロックチェーンをビジネスにどのように活用するかという点に踏み込んで解説された書籍です。金融領域だけでなく、非金融領域での活用方法、事例が解説されており、ブロックチェーンの今後の可能性を理解することができます。その他、投資動向、会計・税務、法務・知財の領域についても一通り解説がされており、ブロックチェーンビジネスを始めたいという方におすすめです。
未来IT図解 これからのブロックチェーンビジネス
本書では「ブロックチェーンの直感的イメージ」を理解することができます。ブロックチェーンが、金融業界、不動産業界、動産業界、製造・小売・物流業界、メディア・広告業界、音楽・コンテンツ業界、娯楽・ゲーム業界、医療・福祉業界、人材採用業界、エネルギー業界、官公庁、気象・環境業界、シェアリング業界、派遣業界でどのように活用されているのか図を用いてわかりやすく解説されています。一つの領域を深く掘り下げているのではなく、広く浅く概観しているので、ブロックチェーンビジネスの全体像を理解したいという方におすすめです。
こちらの書籍は現在Kindle Unlimitedで無料で読めます。(2021年3月7日現在)
技術
ここではエンジニアの方向けに実際にブロックチェーン開発を学ぶことができる書籍を紹介します。
Pythonで動かして学ぶ!あたらしいブロックチェーンの教科書
ブロックチェーン技術者を育成するFLOCが出版した書籍です。ブロックチェーンの基本的な仕組みや構成技術を学ぶことができます。Pythonを使用した実践パートもあり、実際に手を動かし簡単なブロックチェーンをつくることができます。エンジニアでない私もスラスラと取り組むことができたので、技術に関する全くの初学者の入門書としておすすめです。
ブロックチェーン 仕組みと理論
本書はITエンジニア向けに書かれた書籍で、基礎編、理論編、実装編の3章からなります。基礎編では、事例等を交え、ブロックチェーン技術を取り巻く世の中の動向を解説。理論編では、ブロックチェーンの仕組み、構成技術を詳細に解説。実装編では、Bitcoin Core、Ethereum、Hyperledger Fabric、Lightning Network、Quorum、Cordaといったブロックチェーン基盤の基本的な機能の解説とサンプルの紹介があります。ブロックチェーンの仕組みをある程度理解し、更に技術的な内容を深く理解したいという方におすすめです。
ブロックチェーンアプリケーション開発の教科書
ブロックチェーン技術を理解したいエンジニア、ディレクター向けに書かれた書籍で、実際にブロックチェーンを使った開発手法が解説されています。プレイべーとチェーンの展開、イーサリアムにおけるスマートコントラクト開発が具体的に説明されており、実際の開発手法をより具体的に学びたい方におすすめです。627ページとかなりのボリュームですが、必要な部分を辞書的に読むことをおすすめします。
ブロックチェーン実践入門 ビットコインからイーサリアム、DApp開発まで
本書では、(1)ブロックチェーンの基礎、(2)暗号、ネットワーク、ゲーム理論などのブロックチェーン関連技術、(3)ビットコイン、(4)イーサリアムとスマートコントラクト、(5)ブロックチェーンを用いたアプリケーション(DApp)の5つのテーマを学ぶことができます。かなり網羅的に詳細な解説がされており、これ1冊でブロックチェーンのほとんどを理解することができますが、かなり上級者向けに書かれています。上記のような書籍を理解した上で、更に学びを深めたい技術者の方におすすめです。
専門領域
ここでは、特定の領域でのブロックチェーン技術の活用を対象として、より詳細な解説がされている書籍を紹介します。
ビットコインとブロックチェーン
ビットコインの背景にあるブロックチェーン、暗号理論、P2Pネットワーク等を理解することができる書籍です。現在、活発に投資されているビットコイン等暗号資産(仮想通貨)ですが、それがどのような仕組みで動いているのか、どのように暗号資産のソフトウェアを開発するのかを理解したいという方におすすめです。
電力流通とP2P・ブロックチェーン ―ポストFIT時代の電力ビジネス
電力領域でのブロックチェーンの活用を解説した書籍です。電力の消費者(コンシューマ)と発電者(プロデューサ)の双方の顔を持つプロシューマという存在が現れ始め、P2P(Peer to Peer)での電力取引システムに注目が集まっています。そのP2P電力取引を実現するのが、ブロックチェーンです。電力取引でブロックチェーンを活用したビジネスを企画されている方などにおすすめです。
ブロックチェーン、AIで先を行くエストニアで見つけた つまらなくない未来
ブロックチェーンを直接取り扱った書籍ではないですが、電子政府の先進的事例であるエストニアを題材として、どのようにブロックチェーン技術を活用しているのか、その背景は何かを理解することができます。電子政府化を目指す日本にも参考になる内容がたくさんあり、ブロックチェーンの効果・メリットを日本にどのように適用するか参考にすることができます。
まとめ
以上がAmadocがおすすめするブロックチェーン書籍10冊です。ブロックチェーンの学習領域はかなり多岐にわたり書籍も多数出ていますが、効率的に学習するには良い書籍を選ぶ必要があります。ブロックチェーン書籍のすべてを読んだわけではないのですが、上記で紹介した書籍はかなり読みやすく、実際のビジネスにも活用できる内容が多く取り上げられているので、是非参考にしてみてください。
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