転職が当たり前になった近年において、様々なきっかけで転職を考えることになると思います。また、転職理由も収入だけでなく、人間関係、ワークライフバランスなど多岐にわたります。理想的なキャリアを実現するためには、キャリアに対する考え方をアップデートしていくことが大切です。
本書の概要
終身雇用が機能していた時代では、会社がキャリアを導いてくれましたが、現代では会社は一生面倒を見てはくれません。そのため、自分自身で「どのように働きたいか」という目標を設定し、実現していく必要があります。
本書では、事故の市場価値を最大化することを目的とした転職2.0の考え方を基に、自己・業界・会社という観点から理想のキャリアを実現する方法論を学ぶことができます。転職2.0には以下のキーコンセプトがあります。
- 目的:転職は自分の市場価値を高める「手段」と考える
- 行動:「タグ付け」で自分の希少価値を高める
- 考え方:目指すポジションから逆算してキャリアを考える
- 価値基準:「シナジー」を基準に仕事を選ぶ
- 人間関係:広くゆるいつながりをつくる
このキーコンセプトに基づき、自身の市場価値を最大化し、理想的なキャリアを実現するための具体的な手段を学ぶことができます。
本書を通じて学べる事
自己を知る方法(タグ付け)
理想的なキャリアを実現するには自分の市場価値を正しく把握する必要があります。市場価値は「需要×供給」で決定します。社内での転職市場での評価が大きく異なるということはよくあります。転職サイトや転職エージェントを通じて、自身の強みや適性がどの程度企業から求められるかを知ることが大切です。
本書では、自身の強みや適性を知ることを自己の”タグ”を明らかにすることとしています。自身のタグが転職市場においてどの程度ヒットするのかを知ることで、自身の市場価値を把握することができます。タグ付けには以下2つのフレームワークが紹介されています。
- 分解:自分の経歴・スキルから強みや適性を細分化する
- 解放:他者や転職市場からフィードバックを得る
自身のタグを整理するには、自己分析だけでなく、他者からの評価・フィードバックを得ることが大切です。自分自身が気づけなかった強みや適性を見つけることができるからです。
業界の選び方(ポジション思考)
転職を検討する際、「同じ業界でしか通用しない」という考え方(スキル思考)では、選択肢は大きく狭まってしまいます。結果として、転職しても現職とあまり変化がない可能性もあります。そのため、本書では目指すポジション、役割を明確化するポジション思考を提案しています。
ポジションとは役職ではなく、求人票はジョブディスクリプションに記載されている職務内容を指します。近年ではジョブ型雇用を採用する企業も増加しており、ポジションを軸に業界を選択する人も増えていくと考えられます。ポジションでキャリアを考えることによって、異業種への転職も十分に可能になり、年収アップ、理想の働き方の実現などができます。
その上で、本書では業界選びのフレームワークとして以下の2つを紹介しています。
- 同業界だけど別のポジション
- ポジションは同じで別業界
業界・ポジション両方を変化させる転職は危険として、自分自身が重視するポイントに合わせて上記2つの選択を行っていく必要があります。
会社の選び方(シナジー基準)
会社は、有名だから、大企業だからという理由ではなく、”シナジー”で選択することが重要になります。”シナジー”とは、会社と働く個人が良い意味でお互いを利用し合うという意味です。シナジーを見極めるには、カルチャーフィットを重視することが大切です。本書では、以下のような見極めのポイントを紹介しています。
- 大企業に向いている人、ベンチャーに向いている人
- 良いベンチャーを見極めるポイント
どんなに世間から良いと評価されている企業でも、自身の価値観と合わない企業があります。そのため、転職サイトや実際に働いている社員の声を聞いて、会社の雰囲気を総合的に把握しておくことが必要です。
まとめ
労働市場環境の変化とともに、業界・企業の選択肢も増え、転職を考えるということが難しくなってきているように感じます。その一方で、やりがい、年収、人間関係、ワークライフバランスなどすべてを充足するための選択肢も考えられるようになってきました。本書を通じて、自己理解・業界理解を深めることで、理想的なキャリアを実現することができるのではないでしょうか。
キャリアに悩んでいる方、将来について今の内から考えたいという方は、是非本書を手に取ってみてください。
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