企業の経営企画、事業企画、またコンサルタントの方であれば、様々な形で戦略を考える機会があると思います。一方で、いざ考えようと思っても、どのように考えれば良いかわからないという人も多いのではないでしょうか。本書では、優れた戦略=シンプルな戦略として、その作り方を学ぶことができます。
本書の概要
優れた戦略というのは非常にシンプルなもので、誰にでも伝わりやすく、誰にでも覚えられるものです。具体的には以下のような特徴があります。
- 目的や達成したい目標が明快かつ具体的なうえ、戦略としての基本的な方向性が絞り込まれており、潔い
- なぜ、その戦略が有効であるか明確であり、説得力がある
- 戦略全体を一言で言え、わかりやすく、伝えやすく、覚えやすい
- 戦略の3大基本要件を満たしている…顧客に喜ばれ、競争に勝て、儲かる
- ぶれない継続性や組織の一体感とエキサイトメントを生み出し、現状打破、難題解決を促進できる
本書では、優れた戦略の要件、戦略策定のステップ、各ステップにおけるポイントを実際の有名企業の事例を交えながら学ぶことができます。
本書を通じて学べる事
効果的な戦略の3大基本要件
効果的な戦略とは以下の3つの質問に答えられることが重要になります。いわゆる3Cの観点です。
- 顧客にとって、うれしいことかどうか(顧客価値)
- それは他の会社とは違うのか(差別化)
- 自社は儲かるのか(収益性)
世の中には、様々な事業がありますが、その多くが上記のどれかの理由で失敗しています。大手企業でさえも新規事業を始めたものの、結局収益が生み出せずに失敗するケースも多いです。
戦略はまずこの3つの質問に明確に回答できるかをきちんとチェックするようにしましょう。
戦略構築の構築のステップ
本書では、戦略構築の基本となる6つのステップを示します。
- 戦略目的を設定する:戦略の目的を明確に定義します。
- 境界条件を再確認、再定義する:現状の制約や環境を再評価し、戦略の枠組みを構築します。
- 環境を認識し、自社独自の洞察を導く:環境分析を通じて、自社の強みや弱みを理解し、戦略に反映させます。
- 課題を抽出し、構造化する:問題を整理し、具体的な課題を特定します。
- 戦略的方向性を創出、選択する:優れた戦略を選択し、方向性を決定します。
- 戦略としてまとめ上げる:具体的な戦略を文書化し、実行に移します。
戦略の重要要素である、戦略目的、方向性、アクションをきちんと順序だてて策定していく必要があります。特に多くの企業では、「何をするか」という具体論に集中しがちですが、「この戦略は何のためのものか」という点を明確に定義することが重要です。戦略目的を明文化することで、チームで共有し、覚悟を決めることができます。
シンプルな戦略を構築する3つのパターン
本書では、上記のステップを踏まえ、より具体的なアプローチを実際の事例を交えながら紹介しています。具体的には以下の3つのパターンがあります。
- 基本ステップに沿って作るオーソドックスな戦略
- 事業領域、境界条件など軸に沿って広げることで成長機会の可能性を広げる戦略
- 最終的に何を目指したいのか、目指すゴールが引っ張る、長期戦略や企業変革に適しているパターン
たとえば、パターン1においては真の課題を特定するため、ロジックツリーを作り、課題を網羅的に整理した上で、重要な課題を選択するためのポイントが紹介されています。戦略を立案するには知識だけでなく、思考力、問題解決力が必要になるということを理解することができます。
まとめ
当然ながら本書を読んでも戦略策定というのは難しいものです。しかし、優れた戦略の定義、戦略策定のステップを理解しておくことで、自ら戦略の有効性・実現性を評価することができます。まずは、システマティックに本書のノウハウを実践していくことをおすすめします。
どのように戦略を作ればよいかわからない、戦略コンサルタントを目指したいという方は、是非本書を手に取ってみてください。
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