JAL機長が飲酒により、国際便3便が遅延

「悪意はなかった」が通用しない時代。なぜ、あの企業は炎上したのか?

SNSが普及して十数年が経過しましたが、企業の炎上は一向になくなりません。中小企業から大手企業、公的機関に至るまで、些細な発言や行動が火種となり、瞬時に信頼とブランドを失うリスクが日常となっています。

本書は、この「なくならない企業の炎上」の根本原因を徹底的に分析し、現代企業が生き残るために必須の危機管理戦略をご提供します。

  1. 炎上の構造と真の原因
  2. 30の最新事例からの具体的な教訓
  3. 炎上を防ぎ、沈静化させる組織戦略
目次

概要

2025年8月28日、JALの男性機長(64歳)が滞在先で過度な飲酒を行い、その影響により乗務できなくなった。この結果、機長が乗務予定だった国際線を含む計3便に遅延が発生した。

2025年9月10日、国土交通省はJALの管理監督が不十分だったとして厳重注意の行政指導を行った。

2025年9月30日に、JALは国土交通省に再発防止策を提出し、公表した。

原因(JAL提出の報告書に基づく)

飲酒リスクに対する認識の不足

  • 個人の「健康管理情報」を十分に重視した基準の設定になっておらず、結果的に飲酒リスクのある運航乗務員の乗務を停止できない仕組みとなった
  • 自社の知見のみで管理できるという認識の甘さや、専門性の高い健康管理情報をどのように飲酒傾向管理に活用すべきかという知見の不足があった

飲酒傾向管理を実際の対応に結び付ける判断基準・体制が不十分

  • 飲酒傾向管理により懸念のある対象者に対する具体的な対応は飲酒傾向管理を取り扱う会議体で決定することとしており、具体的な判断基準が明確でなかった
  • 個別の対応の判断の責任者の設定が不十分であったためと考えられ、飲酒リスクのある運航乗務員を早期に発見し、適切な措置を講じることができない仕組みとなった

健康管理部門の飲酒傾向管理に関する組織力の不足

  • 飲酒傾向管理の仕組みの中で「健康管理情報」の重みが低かったことに加え、タイムリーに、健康情報を分析、情報発信するだけの十分な人員を配置できていなかったため、当該機長の飲酒リスクに基づく対応へと繋げることができなかった

安全推進本部の関与の不足

  • 過去の検知事例や不適切事案に目を向けすぎており、結果的に健康管理情報の重要性に気づくことなく、自分たちだけで仕組みを運用できるものと判断してしまった
  • 年1回の監査だけでは、仕組み上の問題点を見出すのは困難であったため、監査頻度を見直し、基準や運用の有効性に重点をおいた内部監査の実施が必要であった
  • 会議では管理状況や運用の詳細には踏み込まず、主に運航本部が管理対象の乗員に対して実施した面談等の実施回数や、飲酒傾向が変化した社員数の確認等に留まっていた

運航乗務員一人ひとりへの飲酒関連規定の浸透不足

  • 飲酒関連規定は、手段ではなくそれそのものが安全・安心のために遵守しなければならないものであること、自身の経験で上書きできるものではないということ、飛行前の飲酒を許容する目的のものではなく、飛行前に飲酒をすることがいかに危険かを認識するための規定であることなど、その目的や位置づけなどを、これまで以上に丁寧に、一人ひとりに腹落ちするような教育が必要であった
  • 安全運航の要とも言うべき運航乗務員の飲酒問題が、いかに日本航空を選んでくださるお客さまの安全・安心を著しく毀損し、裏切る行為であるかということを、改めて一人ひとりの運航乗務員の心に深く刻むような取り組みが不足していた。お客さまの声に触れる機会が十分でなかった
  • 全運航乗務員を対象とした一律の教育のみならず、年代や、飲酒傾向管理などの情報に着目したうえで、重点的な対象者を絞ったうえで、より一歩踏み込んだ多量飲酒の危険性や注意点を伝えるなど、飲酒傾向に懸念のある運航乗務員一人ひとりに行き届くような取り組みが必要であった

経営を含む社員一人ひとりのアルコール問題に対する姿勢や対応の不足

  • 経営を中心に、社員一人ひとりが、飲酒問題を自らの問題と捉え、何をすべきか考え、解決に向けて取り組んでいく必要がある

全社員の飲酒に関する健康管理の重要性の啓発のための取り組みの不足

  • 数々のアルコール事案を起こしていた背景から、管理型の取り組みしかできておらず、全社員への自主性を引き出すような前向きな取り組みが不足していた

影響

国際便3便の遅延

対応

  • 飲酒した男性機長を懲戒解雇
  • 鳥取三津子社長をはじめ全取締役・執行役員ら計37人の報酬を減額
  • 国土交通省に対して再発防止策を提出し、公表

URL

https://www.jal.com/ja/safety/trouble_info/pdf/jal_ordr_250930.pdf

「悪意はなかった」が通用しない時代。なぜ、あの企業は炎上したのか?

SNSが普及して十数年が経過しましたが、企業の炎上は一向になくなりません。中小企業から大手企業、公的機関に至るまで、些細な発言や行動が火種となり、瞬時に信頼とブランドを失うリスクが日常となっています。

本書は、この「なくならない企業の炎上」の根本原因を徹底的に分析し、現代企業が生き残るために必須の危機管理戦略をご提供します。

  1. 炎上の構造と真の原因
  2. 30の最新事例からの具体的な教訓
  3. 炎上を防ぎ、沈静化させる組織戦略
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Junyaと申します。本ブログではExcelなどビジネススキルを発信しています。
Youtubeで動画投稿もしていますので、是非フォローお願いします。

コメント

コメントする

目次