多くの起業家向けの本では、起業というと華々しいイメージを紹介し、難しい戦略論を語っています。一方本書では、普通の人が実践できるように成功事例を真似ながら地道に稼ぐための方法論を紹介しています。
本書の概要
本書では、「起業のための勉強はいらない」「新しいことはしない」で地道に稼ぐ方法を紹介しています。その方法とは、成功事例をマネる(=二番煎じを極める)ことです。ゼロから新しいものを生み出そうとすると、不確実性が高く全く儲からない可能性もあります。一方で、他の企業がすでに成功しているやり方を別の場所で行えば、確実に売れるということです。
起業というとしっかり勉強して、大金をつぎ込んで、新しいものに挑戦するというイメージが強いかもしれませんが、まずは稼げなければ企業を経営することはできません。なので、壮大なビジョンを描く前に最小の目標は「地道に稼ぐ」ということを本書では解いています。
本書では「地道に稼ぐための方法」を以下の3つの観点から解説しています。
- 自分にできるビジネスを選ぶ
- マネる=成功している誰かのやり方を完コピする
- ズラす=空いているほかの市場に持って行く
本書を通じて学べる事
「自分にできるビジネスを選ぶ」方法
起業するためには、全く知識や経験のない領域ではなく、自分にできるビジネスを選択することが重要です。そのためには、以下の2つの観点で選択します。
- 自分のモチベーションや強みとリンクしている
- 業界について知識・経験がある
事業を始めた段階はお金を稼ぐことができず、苦しい時期が続きます。そのような状況でも頑張るためには、モチベーションの続くテーマを選択することが大切です。モチベーションがあり、かつ、自分の強みがある領域を選択することで継続できる事業に取り組むことができます。
また、業界について知識・経験があれば、お金を稼げるポイントを知っており、誰のやり方を真似れば良いかがわかります。
ベンチマークすべき企業のチェックポイント
本書では、成功事例をマネることを提案していますが、どのような企業をベンチマークすべきかのチェックポイントを紹介しています。
- 商品・サービスは何か?
- 顧客(とその関係性)は?
- 商圏は?
- 資本はどのくらいか?
- 収益の流れは?
- オペレーションは?
- コスト構造は?
- 営業方法やマーケティングは?
- 必要な許認可は?
この9つのチェックポイントの分析を通じて、現時点の自分の状況に応じてベンチマークすべき1社を選択します。どの企業をマネれば良いかわからないという人も上記のチェックポイントを通じて、自分にできて、かつ、成功している事業を選択することができます。
成功事例を「空いているほかの市場に持って行く」方法
ベンチマークとして選択した事業を別の市場に持って行きます(ズラす)。本書では、2つの方法を紹介しています。
- タテにズラす⇒商品、顧客、商圏のどれか一つを細分化する
- ヨコにズラす⇒商品を別の商圏に持って行く
ベンチマークと同じ市場で戦ってしまうと絶対に勝てませんが、どれか一つのテーマに注力することで、ベンチマークよりも優位性を保つことができます。また、ベンチマークがいない市場で戦うことも稼ぐ上では有効になります。
全く新しいをしなければ勝てないというわけではなく、成功事例から少しだけズラすことでも十分に稼げる事業が生み出せるということがわかります。このようなフレームワークを活用することでビジネスを非常にシンプルに考えることができます。
まとめ
起業というと難易度の高いもののように感じますが、本書を通じて、まずはマネることからスタートしても良いということがわかります。起業において大切なことは、確実に稼げる事業を行うということで、それがたとえ二番煎じでも良いということがわかります。
本書は他の起業家向けの本よりもリアリティがあり、実行しやすい内容になっております。今後、小さくても自分のビジネスに取り組んでみたいという方は、是非本書を手に取ってみてください。
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