多くの人は情報はたくさんあると良いと考えますが、実際はその多くの情報は活用されずに無駄になってしまいます。本書では、インプットを最小にしてアウトプットを最大化するための考え方を紹介しています。
本書の概要
近年では、インターネットが発達し、ChatGPTなどの生成AIツールなども登場してきたことにより、多くの人が等しく情報にアクセスできるようになってきています。結果として、情報収集(インプット)によって差がつきにくくなってきています。
そのため、本書では「アウトプット」で差を付けることを提案しています。具体的には、「インプット⇒アウトプット」というプロセスを「アウトプット⇒インプット」に逆転させることです。そのためには、「何を目的として」「どんな立場で」「どんな役割を期待されて」情報を生かそうとしているのかを明確にしたうえで、情報に接することが重要になります。
本書では、この「アウトプット」から考える情報整理術を紹介しています。
本書を通じて学べる事
情報とはマイナスのエントロピーである
本書では、「情報とはマイナスのエントロピーである」と述べています。これは、情報があれば不確実性が減るということを意味します。一方で不確実性を減らすためには、適切な情報を吟味して収集する必要があります。あれもこれもとひたすらに情報を集めていってしまうと逆に判断が難しくなってしまいます。
意思決定にはどのような情報が必要かあらかじめ定めた上で、何をやめるのか、何を捨てるのかといった視点で情報収集を行うことが大切です。
脳内に「20の引き出し」を持つ
本書では、日々の情報収集においても無理に情報を集めたり、整理したりせず、自分の脳にレ点を付けて放置することが良いと言われています。レ点とは、線を引く、付箋を貼る、ページを折るといった行動で、頭の中の引き出しに入れておくことです。
この際、著者は「20の引き出し」を持ち、多数のネタを収納しているといいます。たとえば、「AI」という引き出しには、「対話型AI、ChatGPT、Midjourney、機械学習…」といった具合にネタが入っています。引き出しをつくることによって自分の興味・関心が整理され、その分野に関する情報が自然と目に入ってくる状態をつくることができるのです。
日々接する情報もやみくもに見るのではなく、自分自身の方向性となる引き出しがあることによって、今後のアイデアとして活かせる情報をキャッチすることができます。
一次情報の重要性
情報の中でも自分が直接見聞きした一次情報が最も強力です。本書では、なるべく現場に行ったり、人と会って話したりすることの重要性を説いています。ビジネスの現場に赴き、現場の社員の話、各種資料、オフィス内、工場の雰囲気などを見聞きすることによって、新しい発見を得ることができます。
また、一次情報を得るために自分だけの人脈ネットワークをつくることも重要になります。それも自分と同じ環境にいる人ではなく、異なる業界・世界で活動する人と付き合うことでより強い刺激を受けることができます。あまり臆することなく、様々な人との人脈を築き上げることが新しい発見につながるということがわかります。
まとめ
本書では、インプットを最小にしてアウトプットを最大化するための情報整理の考え方と具体的な一次情報、新聞・雑誌・本・テレビ・ネット・SNSの活用方法が紹介されています。著者ならではのノウハウの部分もありますが、実践することによって、情報に対する接し方が変わると思います。
日々の情報収集をより価値のあるものにしたいと考えている方は、是非本書を手に取ってみてください。
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