文章を書くのが苦手という人は意外に多いと思います。必要な情報は盛り込んでいるのに「わかりにくい」と上司に言われることもあります。本書では、そのようなレポート・ライティングを苦手する方向けに論理的な文章構成、わかりやすい表現を解説しています。
本書の概要
日本人の多くは社会人になるまで、何かを報告するためのレポート・ライティングを習ってきませんでした。そのため、いざ社会人になってメールや報告書を書いてもわかりづらい文章になってしまいます。
文章がわかりにくい原因は、書く前の段階の「考えるプロセス」にあります。何を伝えたいのか、なぜそう言えるのかという考え方がシンプルに整理されていないのです。本書では、ピラミッド原則という考えを組み立て、チェックするためのツールを活用し、わかりやすい文章を書く方法を学んでいきます。
本書を通じて学べる事
読み手の関心を明らかにするOPQ分析
メール・報告書などには必ず読み手がいます。つまり、自分の書きたいことを書くのではなく、読み手が関心を持っていること、疑問に感じていることに合わせて書く必要があります。読み手の疑問を理解し、確認する方法としてOPQ分析が紹介されています。
- O:Objective:読み手が目指している望ましい状況
- P:Problem:現状と望ましい状況(O)のギャップ
- Q:Question:問題(P)に直面した読み手が、その解決に向けて自然に抱くだろう疑問
- A:Answer:読み手の疑問(Q)に対する答え
OPQにより、読み手の疑問・関心を明確にし、メールや報告書ではまず、それに対する回答(A)を明確にする必要があります。大切なことは自分目線で考えるのではなく、読み手を主語にして書く目的を考えることです。
考え方を形にするピラミッド原則
ピラミッド原則に従うことでわかりやすい文章を書くことができます。ピラミッド原則とは、結論や主張を頂点に置き、それを支える根拠や情報を階層的に配置していく文章構成のことです。
以下のように伝えたいメッセージを頂点に配置し、それに紐づく根拠を下部に示すことによって文章の構造を明らかにすることができます。
文章で書き起こす際もこの構造を意識し、箇条書きで表現することでメッセージが伝わりやすくなります。
- 当社は新しい安価な学習サービスを開始すべきである。理由は以下3点:
- 当社のメインの事業である学習塾運営が少子化の影響を受け、売上は3年連続で減少している
- 不景気のため各家庭の教育に関する支出は減少し、塾に通わせない家庭も増えている
- 競合企業は安価なオンライン学習サービスを開始し、より幅広い層にリーチしている
帰納法・演繹法
ピラミッドを作成するには、きちんとロジックに従って内容を埋めていく必要があります。そのロジックの種類には大きく帰納法と演繹法があります。
- 帰納法:複数の特定事象(前提)から要約(結論)を導く
- 演繹法:絶対的に正しいことや、一般的に正しいと判断されること(前提)から、妥当と思われる結論を導く
ピラミッドを作成する際も帰納法で説明するか、演繹法で説明するかを意識することが大切です。本書では、帰納法・演繹法のそれぞれで報告書を作成する際のポイントが紹介されています。ロジックを理解することで、単に情報を並べるだけでは相手にメッセージは伝わらないということが理解できます。
まとめ
多くのビジネスパーソンがメールや報告書など日々何かしらの文章を書いていると思いますが、知らず知らずのうちに相手にわかりづらい文章になっているかもしれません。本書を通じて、自分の文章の構成を改めて見直し、より伝わりやすい文章に改善することができます。
文章が苦手、自分の文章をもっと洗練させたいという方は、是非本書を手に取ってみてください。
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