多くのビジネスパーソンが日々「考える」ということをしていると思いますが、「なかなか良いアイデアが出ない」「良い分析ができない」といったことはないでしょうか。本書ではそのような課題を解決する頭のいい人が使っている「考え方」のコツを学ぶことができます。
本書の概要
本書では体系的な思考法を学ぶというより、状況に応じて活用できる考え方のコツが「基礎編」、「応用編」、「発展編」、「日常の習慣編」の4つのパートに分かれ、33個紹介されています。より実践的なテクニックが紹介されており、すぐにでもビジネスの場に適用することができます。また、ある程度思考法の基礎を身につけていることで、テクニックをより効果的に実践できると思います。
本書を通じて学べる事
分けて考える
「分かることは分けること」といわれるように物事を理解するためには、分けることが必要です。たとえば、売上減少という課題に対しても、顧客層別(性別、年齢別、家族構成別など)、チャネル別、製品別などで分解することで、原因が見えてきます。分ける際にもフレームワークを活用することで、漏れなく重複なく整理をすることができます。分けて考えることで、真因となっている原因を特定することができ、その解消のため時間やリソースを集中できるというメリットがあります。
比べて考える
物事を正確に捉える際は比べて考えることが必要です。たとえば、「Aさんの残業時間23時間」というデータだけがあっても、それが長いのか、短いのか、何が問題なのか分かりません。そのため、何かしらの基準や比較する対象を設ける必要があります。
比較においても様々な考え方があります。「Aさんの残業時間23時間」と比較するデータには、「Aさんの所属する部署の平均残業時間「同じ業務を行うBさんの残業時間」「別の月のAさんの残業時間」などがあります。比較対象は、極力同じ定義や測定条件で出てきた数字であることが必要です(apple to apple)。
比べることは定量的なデータを比較するだけでなく、ビジネスを他の事例などと比べることも効果的です。ビジネスの成功事例はどのような条件において成功したのか、自社に足りていない条件は何かを比べることで、様々な示唆を得ることができます。
アウトプットしながら考える
自身の思考力を磨くにはインプットした内容をきちんとアウトプットすることが必要になります。勉強や情報収集などのインプットは重要ですが、アウトプットにつなげないインプットは結果的にすぐに忘れ去られたり、劣化してしまいます。
アウトプットするということは、インプットした内容を自分自身の表現に直すということです。そのためには、インプットした内容を正確に理解していなければできません。また、アウトプットした内容を他人に見せることで、様々な意見をもらうことができます。それが、更にインプットとなり、次のアウトプットにつなげることで、アウトプットが洗練されていくのです。
まとめ
近年のビジネスの課題は非常に複雑になってきており、ただ考えるだけでは成果を生み出しにくくなっています。また、そのような領域はAIなどに代替されていっています。価値を生み出すには「考えることを考える」ことが重要になります。効果的な考え方をすることによって、AIや他の人には生み出せない新しい価値を生み出すことができます。
物事をどのように考えれば良いかわからない、より高い思考力を身につけたいという方は、是非本書を手に取ってみてください。
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