文章を書くことに苦手意識がある人は多いのではないでしょうか。上司に「文章がわかりづらい」といったフィードバックを受けることもあると思います。本書で紹介されている箇条書きでは伝えたい内容を「短く、魅力的に伝える」ための作文方法を学ぶことができます。
本書の概要
社会人になると箇条書きで書かれた文章を見る機会が多いと思います。上司のメールや報告書などでは箇条書きで書かれていることが多いです。箇条書きには通常の文章よりも、シンプルですぐに理解できるという特徴があります。そのため、相手に伝えたいことを速く、正確に伝えることができます。
しかしながら、とりあえず箇条書きにすれば良いというわけではなく、以下の3つの技術的要素を加えることで、分かりやすい箇条書きになります。
- 構造化:相手が全体像を一瞬で理解できるようにする
- 物語化:相手が関心をもって最後まで読み切れるようにする
- メッセージ化:相手の心に響かせ、行動を起こさせるようにする
本書ではトレーニングを通じてこの3つの技術的要素を学ぶことができます。
本書を通じて学べる事
構造化
分かりやすい箇条書きにするには、伝えたいことをただ並べれば良いのではなく、伝えたいことを分類分けし、レベル感をそろえる必要があります。
悪い例
- 伝えたいこと1
- 伝えたいこと2
- 伝えたいこと3
- 伝えたいこと4
- 伝えたいこと5
- 伝えたいこと6
良い例
- 伝えたいこと1
- 伝えたいこと1-A
- 伝えたいこと1-B
- 伝えたいこと2
- 伝えたいこと2-A
- 伝えたいこと2-B
悪い例では、伝えたいことが多く、各要素間のつながりも分かりづらいです。良い例のように構造を整理することで、伝えたいことの全体像、各要素のつながりが明確になります。
本書では、箇条書きにおけるグルーピング、ガバニングのテクニックを学ぶことができます。
物語化
単に情報を伝えるだけの箇条書きでは、相手に読みたいと思ってもらうことはできません。そのため、箇条書きにおいて「フックをつくる」ことが重要になります。「フックをつくる」とは、相手の関心を踏まえ、相手がドキッとする仕掛けを箇条書きに埋め込むことです。本書では、以下のような実践方法が紹介されています。
- 相手の期待していることにダイレクトに応える
- 重要なメッセージだけを伝える
- 固有名詞を用いる
大切なことは、メッセージを伝える相手は誰か、相手は何に疑問・関心を持っているか理解することです。それに応じてフックづくりの方法を変えていくことが必要になります。
メッセージ化
箇条書きでは、情報を伝えるだけでなく、「結局何が言いたいのか」のメッセージを伝えることが重要になります。「賛成か、反対か」「A案か、B案か」といった自分自身のスタンスを示すことが必要です。逆に、一般的なこと、無難なこと、当たり前のことを言ってはいけません。
日々のメールや報告書では当たり障りのない「~を検討する」「~を見直す」「~を推進する」といった言葉を使いがちですが、これらの言葉では実質的には何も宣言していないことになります。結果として、読み手には意図が伝わらず、「何が言いたいの?」「何がやりたいの?」という疑問を生じさせてしまいます。
本書では、メッセージが明確になるようにスタンスを示すためのテクニックを学ぶことができます。
まとめ
とりあえず箇条書きを使えば文章がわかりやすくなるというわけではなく、構造化、物語化、メッセージ化3つの技術的要素を備える必要があります。魅力的な箇条書きを書けるようになると、自分の意思が正確に伝わり、相手を意思決定・行動させることにつながります。結果として、大きな成果を生み出すことができます。
自分の文章に自身がない、自分に意思をもっとわかりやすく伝えたいという方は、是非本書を手に取ってみてください。
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