東京都目黒区、DV被害者の住所を加害者に誤送付

2025年10月9日2025年11月24日

「悪意はなかった」が通用しない時代。なぜ、あの企業は炎上したのか？

SNSが普及して十数年が経過しましたが、企業の炎上は一向になくなりません。中小企業から大手企業、公的機関に至るまで、些細な発言や行動が火種となり、瞬時に信頼とブランドを失うリスクが日常となっています。

本書は、この「なくならない企業の炎上」の根本原因を徹底的に分析し、現代企業が生き残るために必須の危機管理戦略をご提供します。

炎上の構造と真の原因
30の最新事例からの具体的な教訓
炎上を防ぎ、沈静化させる組織戦略

概要

2025年4月から目黒区は、戸籍の氏名への振り仮名記載事務の際に、過去のDV等支援措置対象者のリストを作成し、戸籍の附票の発行制限解除作業を開始した。被害者は、過去にDV等支援措置対象者だったが、2025年7年4月時点で終了していたため、上記リストに含まれており、制限の解除対象者となっていた。

2025年5月8日に、被害者より2度目のDV等支援措置の申し出があり、区は戸籍システムで再度の制限対象としたが、戸籍システムと連動していない支援措置終了者リストから被害者を削除する作業を怠った。その結果、令和2025年5月14日にリストに基づき解除作業を行った際、被害者の制限も誤って解除してしまった。

2025年5月16日、被害者の相手方が区役所窓口で戸籍の附票の写しを申請し、区は本来開示されるべきでない被害者の住所情報を誤って交付した。

2025年5月29日、区が戸籍システム登録情報の確認をした際に誤解除に気づき、発行履歴を調査した結果、誤交付が判明。区は被害者に謝罪し、一時避難を提案するとともに、警察署へ安全確保を要請した。

公表された原因

「既DV等支援措置終了者のデータ削除作業」において、被害者の新たな申し出により再度有効になっていたはずの戸籍の附票の発行制限を見落とし、過去の情報のみに基づいて処理をしてしまった。

原因仮説

システムと手動リストの連携に関する設計および運用の不備

新たな事務（振り仮名記載）のために作成した一時的なリスト（終了者リスト）が、主要なシステム（戸籍システム）の制御を上書きしてしまうという、二重管理による脆弱性が存在した可能性がある。

重要性の高い情報へのリスク認識の欠如

DV等支援措置の情報は、人命に関わる極めて機密性の高い情報であるにもかかわらず、その解除作業が「手動で作成されたリスト」に依存し、その後の最終的なダブルチェック（戸籍システム側での制限状況の再確認）が行われなかった可能性がある。

影響

DV被害者の住所が加害者に漏えいした。

対応

本件被害者と区の間で、代理人弁護士を通して和解に向けた協議を実施
以下の再発防止策を表明。
- 支援措置に関する通常業務における事務の流れを確認
- システム処理を行う職員と処理内容を確認する職員との間で確認内容を明確にした処理票を作成し、管理体制を強化
- 関係職員へ被害者保護や個人情報取扱いの重要性を改めて周知徹底