企業の企画や経営に関する資料は、いつの間にかPowerPointで作成することが当たり前になってきています。PowerPointは様々な表現ができる便利なツールですが、それゆえに自由度が高く、いざ資料を作成しようとしても手が止まってしまうことも多いのではないでしょうか。
PowerPointにおける資料作成は、自分なりに工夫するより、まずは型を覚えることが重要です。わかりやすいスライドというのは、国、企業、人にかかわらず、共通しています。なので、まずは万人にわかりやすいスライドの型を覚え、実践しましょう。
本記事では、現役コンサルタントである私が、スライド作成の型を理解するために役立った書籍を5つ紹介したいと思います。
プレゼン資料作成については次の記事でも紹介しているので、是非ご覧ください。
外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック
本書は、外資系コンサルティングファームで活用されているスライド作成の考え方・テクニックが紹介されています。基本的なスライドの構成要素、レイアウトのルールなど、どのようなスライドを作成する場合においても通用する考え方が説明されています。
例えば、非冗長性のルール(=重複させない)というルールはいかなるスライドにおいても重要となります。同じ言葉や図形が繰り返し使用されているスライドは、どのような人が見てもわかりづらいですし、紙幅を無駄に取ってしまう原因となります。
本書では、このような普遍的なルールを理解することによって、スライド作成における意識を改善することができます。
外資系コンサルのスライド作成術 作例集―実例から学ぶリアルテクニック
上記の「外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック」を読んだ後に参照していただきたい書籍が本書です。基本的なルールを学んだ後は、スライドの型を知ることが重要となります。本書では、実際にコンサルティングファームで作成されたスライドをベースに作例集が掲載されています。
PowerPoint等のツールは無限に表現方法があるように思えますが、実際のところビジネスにおいて使用される表現には一定のパターンがあります。本書では、「数値を効果的に表現する」、「概念構造を表現する」、「プロセス」、「スケジュール」の作例集が掲載されており、私の経験から言っても、ほとんどの状況下において活用できる内容となっています。
本書では、よりビジネスの現場において起こりうるケースを題材としているため、多くの人にとってイメージがしやすい内容となっています。レイアウトに悩んだ際は、本書を辞書的に活用し、使えるデザインがないか探してみることをおすすめします。
入門 考える技術・書く技術【スライド編】
本書では、「プレゼン資料」と「スライド・レポート」を明確に区別し、「スライド・レポート」を対象として、書かれています。
本書の定義では、「プレゼン資料」とは、プレゼン時の説明資料としてのみ使用し、印刷配布などを想定していないスライドです。一方で、「スライド・レポート」とは、プレゼンにも使用する場合もあるが、通常の文書報告書と同じ役割を果たし、独立した書類として存在する資料を指します。
つまり、「スライド・レポート」などはプレゼンとは異なり、口頭での補足ができない状況を前提に作成しないといけないということになります。そのため、情報が過不足なく含まれ、誰が読んでも同じ理解ができるということがポイントとなります。本書では、以下5つの原則を挙げています。
- メッセージ展開を明確に表現する
- 図表/グラフなどのビジュアルを活用する
- 結論と次のアクションを強調する
- 導入部を通じて聴衆の頭を準備OKにする
- 聴衆の反応を綿密に予測する
スライド1枚の作成方法のみならず、数十枚のレポートになった際にどのようにメッセージを論理的に展開するかを学ぶことができます。一からスライドの構成を考え、役割分担をしなければならない部長職やマネージャー職におすすめの一冊です。
パワーポイント スライドデザインのセオリー
スライドの構成要素、レイアウトを学んだ後は、より見やすいデザインを身に着ける必要があります。本書では、「見やすい」スライド=「わかりやすい」スライドとし、自分の伝えたいことが、聞いている人、見ている人全員に「正確に」「早く」伝わるわかりやすいスライドを作成する技法を紹介します。
フォント、色、スライドの大きさ、図形の整列などより細かい点に注目し、わかりやすいスライドを作成するためのテクニックを紹介しています。例えば、箇条書きを見やすくするための段落間の余白の設定方法などがあります。
私の経験から言っても、ほんのわずかなスライドの工夫であっても、読み手にとっては異なった印象を与え、意思決定の結果にも大きな影響を及ぼすこともあります。本書では、「見やすい」を徹底的に追求したスライドデザインの型を学ぶことができます。
ノンデザイナーズ・デザインブック
本書はスライド作成に限定されたものではありませんが、非デザイナーが美しいデザインを作成するために学ぶべき内容が記されています。
人間がどのようなデザインであれば、美しい、見やすいと感じるのか、デザインのルールを理解することができます。例えば、4つのデザインの原則である近接、整列、反復、コントラストは直感的に見やすいと感じていることを実際のデザインの例とともに形式知として理解することができます。
その他、色遣い、フォントなどデザインにおいて注意を払うべきポイントが紹介されています。たかがデザインと思われる方もいるかもしれませんが、デザインにこだわった資料はそれだけで印象が大きく異なります。重要な意思決定においても効果的に働く可能性もあるので、学んでおいて損はないと思います。
まとめ
以上、スライド作成の型を理解するために役立った書籍でした。スライド作成において何よりダメなのは「我流」です。自分にとってわかりやすいスライドが、他の人にとってもわかりやすいとは限りません。
過去の経験の蓄積により、どのようなデザインがわかりやすいかというのは、ある程度パターン化されています。なので、まずは先人によって積み上げられた型を活用し、誰にでも受け入れられやすいスライドを作成することを意識しましょう。
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