本記事では、企業の戦略・ビジネスモデルの考え方が身に着く書籍をご紹介します。
今、戦略やビジネスモデルを持っていない企業はないと思います。企業にとって戦略やビジネスモデルは、競争力の維持と向上、市場の変化への適応、リスク管理などのために必要不可欠です。また、企業に限らず各部署・チームごとの戦略・ビジネスモデルもあり、多くの人が戦略やビジネスモデルに関わる機会は多いです。
一方で、一般的な営業、経理、システム開発などの実務とは異なり、戦略やビジネスモデルを体系的に学習する機会は多くはないです。戦略やビジネスモデルを教えられる人もそれほど多くはないと思います。
以下で紹介するのは、私が戦略系のプロジェクトにアサインされた際に実際に読んで、現場で使える知識やスキルが身に着いた書籍です。基礎編と個別テーマに分かれており、基礎編は今すぐにでも読んでいただきたい戦略・美次寝るモデルに関する基礎知識が身に着く書籍です。個別テーマについては、案件や事業内容の特性に応じて読んでいただければと思います。
基礎編
シンプルな戦略 戦い方のレベルを上げる実践アプローチ
本書では、シンプルな戦略の要件、その作り方の基本、それを応用した戦略構築のパターンについて解説されています。
著者は、戦略は難しく考える必要はなく、シンプルに次の質問に答えられるかが重要となると指摘します。
- 顧客にとって、うれしいことかどうか
- それは他の会社とは違うのか
- 自社は儲かるのか
そして戦略構築の基本となる6つのステップを示します。
- 戦略目的を設定する: 戦略の目的を明確に定義します。
- 境界条件を再確認、再定義する: 現状の制約や環境を再評価し、戦略の枠組みを構築します。
- 環境を認識し、自社独自の洞察を導く: 環境分析を通じて、自社の強みや弱みを理解し、戦略に反映させます。
- 課題を抽出し、構造化する: 問題を整理し、具体的な課題を特定します。
- 戦略的方向性を創出、選択する: 優れた戦略を選択し、方向性を決定します。
- 戦略としてまとめ上げる: 具体的な戦略を文書化し、実行に移します。
戦略はシンプルでなければ、達成すべき目的や戦略の有効性がぼやけてしまいます。緻密に分析を行い戦略を練ることももちろん重要ですが、それ自体が目的となってしまい、戦略として持つべき本質を失ってしまっては本末転倒です。
本書では、上記質問を軸に具体的な事例を用いた戦略検討のプロセスが解説されているため、自社の戦略を考えたり、コンサルタントとしてクライアントへのコンサルティングや提案を行っていく際に非常に役に立つ内容となっています。
経営戦略を問いなおす
本書は、ビジネスパーソンに向けて、戦略と戦術の違いを明確にし、実践的な戦略論が解説されています。
著者は、世の大半の企業は、戦略と戦術を混同していることが多く、成長を追求して事業を拡大したにもかかわらず、利益が上がらない企業も少なくないと指摘します。この見せかけの「戦略」が、企業の存続を危うくすることがあります。
本書において重要な概念として、立地、構え、均整があります。戦略とは、「立地」に「構え」を幾重にも重層的に絡め、その上で「均整」を取ることと考えます。
- 立地 (Positioning):事業ドメインの選択を指します。つまり、誰を相手に何を提供するかを明確にすることです。
- 構え (Design):自社や事業をどう構えるかを意味します。具体的には、企業の基本設計や戦略的な方針を含みます。垂直統合の度合い、多角化の度合い、地理的な展開など、事業の準固定的要素が含まれます。
- 均整 (Balance):戦略のバランスを指します。立地と構え、そして戦略全体のパッケージングを含めます。これは、戦略の有効性を保証するために重要です。均整が取れた戦略は、実行においても成果を左右します。
本書は、戦略に関して正しい理解の方向性を示しており、誤った思い込みをしてしまう前に一度手に取って読んでみることをおすすめします。
ビジネスモデル
サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル
消費者の関心が「所有」から「利用」に変わりサブスクリプション(一定の利用期間に応じて料金を支払う方式)が注目を集めている。本書では、サブスクリプションの仕組み、事例、企業がサブスクリプション・モデルに移行するために組織をどう変えればよいのかを、イノベーション、マーケティング、営業、ファイナンス、ITといった機能別に学ぶことができる。
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