いかに論理的な思考が得意な人でも心理的なバイアス(思考の偏りや歪み)に陥ってしまうことがあります。しかし、バイアスを事前に理解しておくことで、影響を最小化すると同時に、バイアスを有効活用し、相手の意思決定を促すことができます。本書では、ビジネスにおける心理学を活用した様々なテクニックを紹介しています。
本書の概要
どのような優秀な人材であっても、日常的に潜むバイアスからは完全に逃れることができません。一方で、バイアスを知っておくことで3つのメリットがあります。
- バイアスを用いて、他者を動かす武器とする
- 自分の意思決定の質を上げる
- バイアスを「悪用」しようとする他者からの働きかけに対して警戒心を持ち、それらを防ぐ
本書では、認知や意思決定に影響を与える基本的な心理バイアスを紹介した上で、様々なシチュエーションにおいて陥りがちな心理バイアスが紹介されています。
本書を通じて学べる事
基本的な心理バイアス
本書では、人間が陥りがちな基本的な心理バイアスが紹介されています。
有名なところで「確証バイアス」があります。確証バイアスとは、自分にとって都合の良い情報を集めてしまい、逆に自分の都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりすることです。たとえば、「Aさんはパフォーマンスが低い」という先入観を持っていると、Aさんの悪い点ばかりに目が行き、逆に良い点を見過ごしたり、軽視したりしてしまいます。
このような心理バイアスが日常のいたるところに潜んでいるということを認識することで、自分の判断は本当に正しいか顧みることができます。
相手を説得するための心理テクニック
心理バイアスを逆に活用することで、相手を効果的に説得・納得させることもできます。
そのテクニックの一つとして「フレーミング」というものがあります。フレーミングとは、同じ情報でも表現や見せ方を変えることによって、相手の受け止め方、印象を変化させることです。たとえば、月に1万円のサブスクリプションのサービスでも、「1日当たり333円」「1日当たりコーヒー1杯分」といった表現をすることで、お得に感じることがあります。
このような心理テクニックを活用することで、相手に理解や行動を促すことができます。業務として、営業やプレゼンテーションを担当する方に役立つテクニックが多数紹介されています。
ネットでの情報収集・発信における注意点
最近では、ほとんどの人が日常的にネットの掲示板、コメント、SNSの情報を目にします。しかし、そのような情報を鵜呑みにすることは危険です。
たとえば、ネットの情報ではエコーチェンバー現象が発生している可能性があります。これは、ネットの掲示板、コメント、SNSの書き込みを多数派であると錯覚してしまうことです。これは、似たような考えを持つ人が同じ場所に集まりやすいことから生じる現象です。また、発言力が強い人の意見に言説が引っ張られてしまうということもあります。
インターネットやSNSの発達により、様々な情報にアクセスできるようになりましたが、情報を正確に理解しなければ、認識の誤りを生じさせる危険性があります。本書では、情報があふれる現代社会においてこそ身につけたいリテラシーが多数紹介されています。
まとめ
人間が陥りがちなバイアスを知っているのと知っていないのとでは意思決定の質は大きく変わります。本書では、様々なシチュエーションで注意すべき心理バイアスが101個紹介されているので、自身の課題・状況に合わせて該当のテーマを参照することをおすすめします。
日々の判断、コミュニケーションの質を高めたいと考える方は、是非本書を手に取ってみてください。
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