情報があふれる現代社会では、日常的に情報収集を行うことも非常に大変です。また、仕事の合間をぬっての情報収集では集中力が続かないという人も多いと思います。本書では、作家・ジャーナリストとしてあらゆる分野の情報発信を行う著者のインプット術・アウトプット術が紹介されています。
本書の概要
本書では現代の知的生産における以下の大前提を置いたうえで、情報収集に関するテクニックについて解説を行います。
- 世の中にたくさんあるメディアを分別するところから始めよう。
- 分別したメディアを活用して、「ニュースを読み解く流れ」をつくろう。
- 読む目的は「たくさんの視点を獲得すること」と肝に銘じよう。
- 読むことで得た「知識」「視点」を「知肉」にするのが最終目標。
- 無理に集中しようとするのではなく、あえて「散漫力」を逆活用しよう。
特に忙しいビジネスパーソンが情報あふれる現代社会においては、あえて集中せずに情報収集を行うことが重要になります。新聞、Webメディア、書籍、SNSも漫然と眺めるのではなく、頭を使って情報を取捨選択し、インプットすることが求められます。
本書では、様々な媒体の情報の選び方、読み方、アウトプットの方法を学ぶことができます。また、集中力が続かない人向けの散漫さを活かしたタスクの進め方も非常に参考になると思います。
本書を通じて学べる事
「良質なプル情報」を取りに行く
情報にはプッシュ情報とプル情報があり、プッシュ情報は「何もしなくても受動的にいるだけで、勝手にこちらに押し寄せてくる情報」、プル情報は「自分が能動的に集めていく情報」と定義されます。現代では、Googleフィード、SNSといったメディアから多くのプッシュ情報が流れてきますが、プッシュ情報に頼ってしまうと良質な情報が失われる可能性があります。そのため、「良質なプル情報」を取りに行くことの重要性を説いています。
本書では、以下の3つの方法を提案しています。
- さまざまな良質なウェブメディアやブログから、いい記事だけを拾い上げる方法
- 質が高い有料メディアを活用する方法
- SNSでの「良質なプル情報」のとり方
様々な情報が無料で手に入る現代だからこそ、今一度情報の価値を再確認し、見るべき情報を吟味することの重要性がわかります。
本の選び方・読み方
WebメディアやSNSが発展した現代においても本を読む意義は大きいです。本は、網羅的に情報を得られると同時に、物事についての全体像を把握し、多様な視点を得ることができます。ある分野に対する理解を深めるには、情報が断片的なWebメディアなどよりも書籍の方が優れています。
本書では、いい本をネット・書店で見つける方法を紹介しています。今読むべき本は以下のような観点で評価します。
- その本と自分との相性を知る
- 自分の読書スキルが足りているかを知る
- まずは冒頭の30ページを読んでみる
- 「向いていない」「無理だ」と思ったら、いったん潔くあきらめる
- 「いま読んで楽しい本」を読む
上記のような観点で選択した本は付箋やハイライトを使いながら、気になる部分をチェックし、自分の感想を加えながら読むことで、知肉とすることができます。
散漫力を活用した生産性の向上
現在社会においてはあえて集中せずに「散漫さ」を上手くコントロールしながら仕事を進めていくことが効果的です。本書では、複数のタスクを次々と進めていくマルチタスクワーキングを提案しています。タスクを「重いタスク」「軽いタスク」に分け、交互に繰り返しながら進めることで、集中力がなくとも持続的にタスクを進めることができます。
多くのビジネスパーソンは様々な仕事が課せられ、プライベートでもやるべきことが多いと思います。そのため、一つのことに集中して取り組むということがどうしても難しいです。そのため、あえて集中せずに「簡単なもの⇒難しいもの⇒簡単なもの…」というように息抜きしながら進めていくことが有効であることがわかります。
まとめ
本書を読むことによって、今までの情報収集のスタイルを見直し、より仕事やプライベートに活用できる質の高いインプットを行うきっかけになると思います。様々な情報が簡単に入手できるからこそ、自身を時間を有効に活用するため、情報に対するリテラシーを身につけることの重要性を理解できます。
日々の情報収集をより価値あるものにしたいと考えている方は、是非本書を手に取ってみてください。
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