「年収を上げたい」「労働環境を良くしたい」「自由な働き方をしたい」様々な理由で自身のキャリアについて考える機会があると思います。現代は非常にキャリアの選択肢が多く、自分にとって最適な選択をすることが難しくなっています。本書では、主体的にキャリアを築き、人生を豊かにするための指針が紹介されています。
本書の概要
キャリアというものは、すべての人の人生に必ず関わり、大きな影響を与える重要なテーマです。変化の激しい現代においては多くの人が様々なタイミングで自身のキャリアについて考えると思います。しかし、キャリアの選択肢は無数にあり、どのようなキャリアを選択すれば良いかわからないという人も多いのではないでしょうか。
本書では、「キャリアの軸」「キャリアの転機」「キャリアの形成」「他者への支援」「組織づくり」といった観点で、現代のキャリアに関する包括的な解説がされています。学生からベテラン社員、人事担当者、経営者まで、幅広い読者層にとって役立つ内容となっています。
本書を通じて学べる事
キャリア3.0の時代
現代においては、年功序列、終身雇用が崩壊し、自分自身でキャリアをデザインすることが求められています。本書では、現代におけるキャリアの考え方をキャリア3.0と呼んでいます。
時代 | キャリア1.0 | キャリア2.0 | キャリア3.0 |
---|---|---|---|
会社との関係性 | 年功序列 終身雇用 | 年功考慮 転職含み雇用 | 複数企業前提雇用 | 転職前提雇用
個人スタンス・ 価値の源泉 | 会社・組織内の適応 (会社の「看板」) | 会社内での線形成長 (看板・ポジション) | キャリアレバレッジ (個) | 自己の非連続成長・
働き方 | メンバーシップ | 半メンバーシップ | ジョブ型 | 目的型
キャリア形成方法 | P/L型 | P/L型 & B/S型 | B/S型 |
学び続ける力 | 実務での学び | 実務に紐づく 実務外での学び | 戦略的学習 | 将来を見据えた
現代においては転職が当たり前となり、複数の企業に所属しながら働く人が増えています。結果として、どのような会社に所属しているかというよりも個人としての価値が重視されます。大手企業・有名企業に所属するだけが選択肢ではなく、個人の価値を高めるためにはスタートアップに所属する、フリーランスになるといった選択肢が通常になってきました。
最適なキャリアを選択するためには、現代の労働環境を理解することが重要になります。
自身の市場価値を把握する方法
自分の理想に近づくためには、現在の自分を知り、理想とのギャップを埋めるため努力する必要があります。市場価値は「希少性」「市場性」「再現性」の3つの要素から評価することができます。
- 希少性:どれだけレアなスキル・経験を保有しているかどうか
- 市場性:マーケットからどれだけ必要とされているかどうか
- 再現性:異なる環境においても、再現できる能力かどうか
「社内での評価」と「市場の評価」というのは大きく異なるものです。社内では優秀な人材として好待遇を受けていた人が、他の会社ではそれほど高い年収を提示されないといったケースはよくあります。そのため、まずは一般的な転職市場においてどのような人材が求められているか、自分はどの程度の位置にいるのか理解することが大切です。
理想と現状にギャップがある場合は、そのギャップを解消する取組が必要になります。専門知識、スキル、経験を積み重ね、市場価値を高めることでキャリアの選択肢の幅を広げることができます。
多様なキャリアの選択肢
現代のキャリアの選択肢は以下のように非常に多岐にわたります。
- 社外に出る
- 転職
- 複業
- 起業
- 独立
- 社内に残る
- 現職での活躍
- 現職内での活躍
「年収が低い」「労働環境が悪い」といった現職での不満がある場合でも、社外に出るだけが選択肢ではありません。早々に社外に出るという選択肢を取ってしまうと、さらに悪化してしまう可能性もあります。一つ一つの選択肢をしっかりと吟味する必要があります。
本書では、このようなキャリアの選択肢における検討理由と判断基準を提示しています。「転職するか、しないか」といった論点だけでなく、「現職での改善余地はないか」「転職以外の選択肢はないか」といった多様な論点を検討することの重要性を理解することができます。
まとめ
終身雇用が崩壊し、会社がキャリアを導いてくれる時代は終わってしまいました。これからはすべての人が主体的に自身のキャリアについて考えなければいけません。そのためには、「現代の労働市場環境」「キャリアの選択肢」「自分自身」を理解することが大切です。本書では、キャリアに関するあらゆるテーマを網羅しており、キャリアのどの段階にいる人にとっても役立つ情報が掲載されています。
自身のキャリアに悩んでいる人、より豊かな人生を実現したい方は、是非本書を手に取ってみてください。
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