私は3年間くらいジムに通っていますが、新型コロナウイルスでの緊急事態宣言によりジムが一斉に営業中止となる状況を目の当たりにしてきました。しかし、最近では再び活気を取り戻し、コロナ前と変わらないくらい盛り上がっているように感じます。
それでは、現在のフィットネス・ジム業界の市場規模はどの程度回復したのか、また、新型コロナウイルスで人々の運動習慣はどう変わったのか、データを具体的に見ていきたいと思います。
フィットネス・ジム業界の市場規模
フィットネス・ジム業界の市場規模は2021年で約4,521億円です。
2020年は新型コロナウイルスの影響を受け、大きく減少しています。2021年にはある程度回復しているものの、コロナ前の水準までには届いてはいません。
クラブ数は2021年時点で約6,757軒です。
店舗については容易に廃業することができないためか、減少はしていないようです。女性専用ジムなど専門型ジムやパーソナルジムが伸びており、小規模なジムが増えていることが推察されます。
会員数は2021年時点で約433万人です。
新型コロナウイルスの影響を受け、会員数が大きく減少していることがわかります。一方で、店舗数がそれほど減ってはいないため、1店舗当たりの会員数は約641人と2019年より200人以上減少しています。
新型コロナウイルスによる影響
フィットネス・ジム業界の市場規模は新型コロナウイルスの影響により、大きく低下したことがわかりますが、スポーツ業界全体と比較しても影響は大きいです。
第3次産業活動指数
下図はサービス業の活況度を示す第3次産業活動指数の推移です。
2020年5月の1回目の緊急事態宣言でフィットネスクラブは大きく低下しており、スポーツ提供施設業全体と比較してもその下げ幅は大きいです。
その後、コロナ前の8割程度の水準まで回復するものの、2021年4月の緊急事態宣言により再度低下しています。その後、徐々に回復するものの2022年10月ではコロナ前の8.5割程度にとどまっています。
スポーツ提供施設業全体と比較してもフィットネスクラブは新型コロナウイルスの影響が大きかったことがわかります。
人々の運動習慣の変化
一方で、人々の運動実施状況はコロナ禍においても増加しています。
下図は、成人のスポーツ実施率の推移を表しています。成人全体で週1日以上運動する人は、コロナ禍の2020年(令和2年)においては、前年と比較して増加しています。2021年(令和3年)では減少していますが、コロナ前の水準よりは高くなっています。
運動する頻度が増えた理由として、令和2年度調査ではコロナウイルスによる意識の変化を挙げる人が最も多く、令和3年調査においても多くの割合を占めています。
新型コロナウイルスにより、むしろ人々の運動習慣は向上したということが考えられます。
何度かの緊急事態宣言により、フィットネス・ジム業界は大きな打撃を受けたものの、運動を習慣化する人は増えたといえます。このような人たちを上手く、フィットネス・ジムに取り込むことが今後の競争戦略につながるといえるでしょう。
主要企業の概要
主なフィットネス・ジムを運営する企業の概要は以下の通りです。
会社 | 主なクラブ・ジム | 直近売上 | 施設数 | 会員数 |
---|---|---|---|---|
コナミスポーツ株式会社 | コナミスポーツクラブ | 420億円 | 383軒 | 不明 |
セントラルスポーツ株式会社 | セントラルスポーツ | 403億円 | 241軒 | 34.2万人 |
株式会社ルネサンス | ルネサンス | 371億円 | 190軒 | 33.3万人 |
株式会社THINKフィットネス | ゴールドジム | 175億円 | 88軒 | 不明 |
株式会社ティップネス | ティップネス | 234億円 | 57軒 | 不明 |
株式会社カーブスホールディングス | カーブス | 275億円 | 1,985軒 | 69.4万人 |
株式会社Fast Fitness Japan | エニタイムフィットネス | 131億円 | 1,002軒 | 64.5万人 |
株式会社東祥 | ホリデイスポーツクラブ | 122億円 | 101軒 | 不明 |
RIZAPグループ株式会社 | RIZAP | 448億円 | 168軒 | 17.6万人(累計) |
まとめ
以上見てきたように、新型コロナウイルスの影響を受け、フィットネス・ジム業界の市場規模は、2020年に大きく低下しましたが、徐々に回復の兆しを見せています。一方で、コロナ前の水準まではまだ回復していないので、コロナ禍で運動習慣の増えた人々をいかに取り込むかが重要になると思います。
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